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目次

01 腎がんとは

02 必要な診察と外来検査

03 腹腔鏡下手術とは

04 手術件数の年次推移

05 腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術の認定施設

06 腹腔鏡下手術のメリット

07 -手術後の創部を比較

08 -術中出血量の比較

09 -手術の様子

10 -痛み止めの使用頻度と総投与量

11 -創部感染症

12 -術後入院日数

13 腹腔鏡下腎部分切除術のメリット

14 技術と実力

15 担当医師

16 腎がんについてのお問い合わせ


01:腎がんとは

 

腎臓は2個あり、尿を作るだけでなく、いろいろなホルモン(血液細胞[赤血球]を作る、血圧を上げる)やビタミン(骨を作る)を合成する大事な役割を持った臓器です。
この腎臓にがんが発生する病気が腎がん(正しくは腎細胞がん)です。腎がんはゆっくりと進行するタイプと急速に大きくなるタイプがあります。また手術で摘除しても10年以上してから転移が発見されることもあるなど、他の臓器のがんとは少し異なる特徴があります。

近年は自覚症状もなく検診などのエコーで偶然見つかる方が多いですが、血尿、腹部腫瘤、体調不良などの症状があって見つかることもあります。もっと進行すれば肺、リンパ節、骨、脳などに転移することもあるため、早期に発見し適切な治療を行うことが重要です。早期腎がんの場合、手術では90%以上の患者さんが治りますが、手術以外の治療(放射線治療、抗がん剤治療など)では20%以下の方しか治らないといわれています。従って、早期腎がんの治療法の第一選択肢は手術と言えます。


 ■腎がん概略図


02:必要な診察と外来検査

 

[1] 血液検査【Crクレアチニン測定】

腎がんの手術では、腎臓を摘出したり腎臓を部分的に切除します。それにより手術後の腎機能低下が問題になるため、手術前の腎機能を確認する必要があります。腎機能を最も簡単に測定する方法が血中クレアチニン値測定です。クレアチニンとは筋肉で作られる物質で、血液中に放出されたあとはすべて腎臓から排泄されることから、血液中の濃度が腎機能の指標となります。

 

■血中クレアチニン正常値
 男性 0.6~1.2mg/dl 女性 0.4~1.0mg/dl

 


[2] CT【コンピューター断層撮影法】

腎がんの大きさやひろがり、腎臓のどの場所にあるか、腎臓以外の臓器への転移の有無などを確認するために必要な検査です。検査の際には造影剤を注射する必要があります。

 


[3]骨シンチ ※1

腎がんが骨に転移をしているかどうかを確認するために必要な検査です。
検査の際には身体に影響のないごく微量の放射性物質を注射する必要があります。

 

※1 骨シンチ(骨シンチグラフィ)
骨シンチグラフィとは、ごく微量の放射性物質を含んだ薬剤(アイソトープ)を静脈投与した後、薬剤の骨への集積程度を特殊なカメラ(ガンマカメラ)で撮像します。骨に転移があると、そこがまっ黒な画像になります。

■骨シンチ

 


[4]腎シンチ ※2

2個ある左右の腎臓が、それぞれどれぐらいの機能を有しているか確認するために必要な画像検査です。検査の際には身体に影響のないごく微量の放射性物質を注射する必要があります。

 

※2 腎シンチ(腎シンチグラフィ)
腎シンチグラフィとは、ごく微量の放射性物質を含んだ薬剤(アイソトープ)を静脈投与した後、薬剤の右と左の腎への集積程度を特殊なカメラ(ガンマカメラ)で別々に撮像することで、右と左の腎機能を別々に計算することができます。

■腎シンチ

 


03:腹腔鏡下手術とは

 

腹腔鏡下手術とは、腹腔鏡という直径が5mmから1cm程度の内視鏡を使う手術のことをいいます。お腹に1cm前後の穴を数ヶ所開けて内視鏡を入れ、モニター画面に拡大した鮮明な腹腔内の画像を映し出します。これを見ながら、別の穴から挿入した手術器械を使い病巣を取り除いていきます。
腹腔鏡下手術には、腹腔鏡下腎摘除術(腎臓をすべて摘除する方法)と、腹腔鏡下腎部分切除術(腎臓を部分的に切除する方法)とがあります。

 

  


04:手術件数の年次推移

 

当院では、2000年より腎がん治療のための腹腔鏡下腎摘除術と腹腔鏡下腎部分切除術を始めました。2000年から2012年までに450例以上の腹腔鏡による腎がんの手術を行い、そのうち200例以上において腹腔鏡下腎部分切除術を行っています。この件数は全国でも有数の件数となっています。
■腎細胞がんに対する手術件数
■腎細胞がんに対する手術件数


05:腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術の認定施設

 

[1] 腎がんの腹腔鏡下手術は保険適用です。
[2] 1998年より、当院では腹腔鏡下手術を行っています。
[3] 技術認定医が2名います。

 


06:腹腔鏡下手術のメリット

 

開腹手術との比較

[1] 傷が小さい
[2] 術中出血量が少ない
[3] お腹を拡大して見るため精密な手術が可能
[4] 術後の痛みが少ない
[5] 合併症のリスクが少ない
[6] 回復が早い

 


07:手術後の創部を比較

 

傷が小さい

開腹手術に比べ、腹腔鏡下手術は傷が小さいため、きわめて痛みが少ないことが大きなメリットです。
腎がんに対する腹腔鏡下手術はお腹に直径5~12mm程度の小さな穴を4~5カ所開け、そこから手術器械や内視鏡を挿入し、お腹の中をモニター画面に映し出して手術を行います。


08:術中出血量の比較

 

術中出血量が少ない

腹腔鏡下手術の大きなメリットは、術中出血量が開腹手術に比し有意に少なくてすむことです。これは精密な手術ができるため小さな血管も傷つけずに手術ができること、腹腔内をふくらませる炭酸ガスの圧力で血管からの出血を抑えることなどによります。当科の腹腔鏡下手術では術中出血量は開腹手術に比べ3分の1程度の量となっています。

■出血量の比較

09:手術の様子

 

お腹の中を拡大して見るため精密な手術が可能

腹腔内に挿入された内視鏡により患部の鮮明な画像が大きなモニター画面に映し出されますので、肉眼よりも精密な手術が可能となります。

 

 ■手術の概略図

■手術中の様子

 


10:痛み止めの使用頻度と総投与量

 

術後の痛みが少ない

通常、手術後は痛みが生じます。開腹手術では約8割の人が痛み止めを必要としますが、腹腔鏡下手術では痛みが少ないため痛み止めが必要な人は4割にしかすぎません。さらに腹腔鏡下手術では痛み止めの投与量は、開腹手術の半分以下の量しか必要としません。また、手術のあとの痛みが小さいため手術翌日から歩き出すことが可能です。

■痛み止めの使用頻度の比較

11:創部感染症

 

合併症のリスクが少ない

傷口の細菌感染は腹腔鏡下手術では極めてまれです。傷の大きな開腹手術では傷口の感染、腸炎、腸閉塞などの合併症がおこる可能性が高くなりますが、傷の小さな腹腔鏡下手術ではそのリスクも減らすことができます。また術後肺炎、術後腸閉塞などの重大な合併症や術後尿瘻、腎動静脈瘤などの合併症も起こったことはありません。

■創部感染率の比較

12:術後入院日数

 

回復が早い

術後の痛みが少なく、合併症もほとんどなく、食事開始、歩行開始などの回復が早いため、入院期間も短くなります。

■入院期間の比較

13:腹腔鏡下腎部分切除術のメリット

 

腹腔鏡下腎摘除術(腎臓をすべて摘除する手術)との比較

[1] 腎部分切除では術後腎機能が温存できる
[2] がんの再発率に差がない(直径40mm程度以下の場合)
[3] 腎不全になる危険性、心疾患の発生率が低い


[1] 腎部分切除では術後腎機能が温存される

腎部分切除術をした場合は、腎摘除術(すべて取り除く方法)をした場合に比べ、有意に腎機能が温存されます。
■腎摘除術後および腎部分切除術後の腎機能
■腎摘除術後および腎部分切除術後の腎機能


[2] がんの再発率に差がない

当科で腎部分切除術を施行した200例以上の患者さんのうち、これまでがんの再発を起こした症例は3例(約1.5%)です。文献的には直径40㎜以下の腎細胞がんを腎摘した場合と、腎部分切除をした場合の再発率は、両者ともに約4%以下で差がないと報告されています。

 

[3] 腎不全になる危険性、心疾患の発生率が低い

文献的には、腎摘除術と腎部分切除術の予後を比較すると、腎不全(透析)になる危険性や心疾患の発生率が低いとする報告を多数認めます。

 


14:技術と実力

 

難易度の高い腹腔鏡下腎部分切除術

当科では、非常に難易度の高い腎がんの腹腔鏡下腎部分切除術を行っており、その実績は日本泌尿器科学会、日本泌尿器内視鏡外科学会での発表において高く評価されています。

腹腔鏡下腎部分切除術


他施設では腎摘出になる難しい症例でも部分切除できます。

[1] 腎に埋没するがんの腎部分切除が可能

右腎臓のほぼ中央に、がんが存在します。がんのほぼ全体が腎臓の中に埋もれていますが、腹腔鏡下の部分切除を行いました。

■術前

 

■術後


[2] 腎門部(腎動静脈の入る部位)に存在する
がんの部分切除が可能

左側の腎臓の中央で動脈、静脈と近接した部位にがんが存在します。手術中の出血の危険性が高い部位ですが、安全に部位切除が行えました。

■術前

 

■術後


[3] がんの直径が40mmを超えていても部分切除が可能

左側の腎臓の中央に直径が40mmを超えるがんが存在します。大きながんは部分切除が難しいのですが、がんを残すことなく、部位切除を行いました。

■術前

 

■術後


15:担当医師

 

町田 二郎(Jiro Machida)

・専門分野
泌尿器科腫瘍、泌尿器科内視鏡手術、
鏡視下手術、排尿障害、血液浄化療法

 

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渡邊 紳一郎(Shinichiro Watanabe)

・専門分野
泌尿器科腫瘍、泌尿器科内視鏡手術、
鏡視下手術、排尿障害、血液浄化療法、腎不全外科(PTX)

 

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福井 秀幸(Hideyuki Fukui)

・専門分野
泌尿器科一般

 

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占部 裕巳(Yuuji Urabe)

・専門分野
泌尿器科一般

 

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橋本 雪司(Kiyoshi Hashimoto)

・専門分野
泌尿器科一般

 

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16:腎がんについてのお問い合わせ

 

腎がんが気になる方は、下記の案内にお問い合わせ・電話・FAXでご相談ください。
※当院に受診をご希望の方で、他院に通院中あるいは入院中の方は、おかかりの主治医、担当医にご相談の上、紹介状をご持参頂き、受診して頂くようお願い致します。

 

【問い合わせ先】

済生会熊本病院 医療相談室

TEL 096-351-1022

済生会熊本病院 地域医療連携室

TEL 096-351-8372 FAX 096-351-8505

ホームページからもお問い合わせできます。

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