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診療の最前線

〜すべての女性に知ってほしい、新しい治療法〜「骨盤臓器脱」と、その低侵襲治療法「LSC」

高齢女性などで失禁がみられた時、「年齢のせい」と諦めていても、実はこの病気かもしれません。成人女性の3人に1人がかかるといわれる「骨盤臓器脱」と、その最新低侵襲治療法「LSC(Laparoscopic Sacrocolpopexy・腹腔鏡下仙骨膣固定術)」についてご紹介します。

多くの女性がかかるのに、知られていない「骨盤臓器脱」

骨盤臓器脱は女性特有の病気で、子宮、膀胱、直腸などの骨盤にある臓器が、膣から飛び出てしまうものです(図①)。以前はそれぞれ子宮脱、膀胱脱、直腸脱と呼ばれていましたが、1つの臓器だけが下垂することは少ないため、最近はまとめて骨盤臓器脱と呼ばれています。海外では成人女性の3人に1人、出産経験者の44%がかかるとの調査結果もあります。つまり、かなり多くの女性に関係がある病気と言えます。
その割には、病名が知られていません。最大の理由は自分がこの病気だと気付かず放置している人が多いためです。「不便・不快」という症状はありますが、命に関わる病気ではないため、治療が必要だと考えなかったり、そもそも治療方法があると知られていないのです。「年齢のせい」と諦めてしまったり、その症状的な「恥ずかしさ」から相談しづらいことも原因です。
具体的には図②に示すような様々な症状のほか、「しゃがんだとき」や「重たい物を持ったとき」、「長時間歩いたとき」に股の下に臓器が下がってくる不快な感覚があります。排尿困難や頻尿、尿失禁を伴うことも多く、日常生活にさまざまな不自由が生じます。患者さんによっては、膣口からピョコリと飛び出した臓器を、そのつど指で中へ戻して日々を乗り切っている方もいます。さらには、残尿の増加や尿管圧迫のため、腎盂腎炎や腎臓の機能障害を引き起こすこともあります。
骨盤臓器脱の原因は、骨盤の底でハンモックのように臓器を支える「骨盤底筋」という筋肉が弱るため。出産や加齢、閉経などで弱って緩み、支えられていた臓器が膣の中へ下がってくるのです。

図②

骨盤臓器脱に、いま最も身体に負担の少ない治療法

この骨盤臓器脱の最新治療法「LSC」は、フランスで開発された治療法。日本でも2016年4月から保険適用となり、少しずつ広まりつつあります。当院では2017年2月から開始し、18例※の治療を行ってきました。
腹部に1cm程度の小さな穴を開け、そこから腹腔鏡で挿入したメッシュ素材で膣を包み込んで「補強」し、それを仙骨に固定することで臓器の"飛び出し"を解消するものです(図①)。従来は開腹手術で行っていましたが、腹腔鏡下で行うことで、治療効果は同等を確保しながら出血や再発率の軽減など、より身体への負担が少ない治療が実現しました。患者満足度、手術成功率、非再発率とも従来法より優れていると報告されています。
※2019年10月末時点

図①

この症状は婦人科に相談されることが多いですが、まだLSCが広まっていないこともあり、薬物療法や開腹手術などで治療されるケースが多いのが現状です。

そこで、もし骨盤臓器脱でお悩みの方が当院へご相談いただければ、身体への負担が少なく根治性の高いこの治療を、より多くの方に提供できると考えています。この病気で人知れず出不精になったり悩みを抱える女性はかなり多いはず。当院の腹腔鏡手術の実績を活かす意味でも、このLSCを通じて人生百年時代のクオリティ・オブ・ライフの向上に寄与したい、というのが私の思いです。

福井 秀幸(フクイ ヒデユキ)

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