充実したサポートスタッフと医療機器
医師としての役割に専念できる環境が揃う

部門長メッセージ

当科は、泌尿器悪性腫瘍、副腎・副甲状腺疾患、排尿障害および泌尿器救急疾患の診療を中心としています。とくにロボット支援手術に注力しており、下記に示したように、日本でも有数の症例数となっています。若手医師の手術教育に尽力しており、専門医取得前の専攻医でも、certificate取得後にロボット支援下手術の術者トレーニングを開始しています。また多数の手術で得られたビッグデータを解析し、学会での発表を泌尿器科医師全員で積極的に行っています。
急性期に特化していることで多忙ではありますが、メディカルスタッフ、医師の周辺業務をサポートする医療秘書等の人員配置も充実しており、チーム医療体制のもとで医師としての役割に専念できる環境を整備しています。

渡邊 紳一郎

診療内容

当院のロボット支援手術体制

2013年より手術支援ロボット:da Vinciでの手術を開始し、2019年1月には『ロボット・低侵襲手術センター』を創設しました。2024年10月からda Vinci Xi 3台体制となっています。泌尿器科の他、消化器外科・呼吸器外科・心臓血管外科・麻酔科医が在籍し、診療科を越えて協力しています。また、ロボット手術に携わる看護師・臨床工学技士・放射線技師・事務スタッフ(購買・広報)もメンバーで、機器の効率的な運用と責任の明確化、安全で質の高い医療の提供、人材育成と技術の向上、院内外へ向けたPRなどをおこなっています。

泌尿器科のロボット支援手術

2013年に開始したロボット支援前立腺全摘術(RARP)は、2025年7月までに2219例を行いました。2023年は237例を行い、全国1位の症例数でした。腎癌に対する腎部分切除術(RAPN)は2016年から開始し、472例を施行しました。その他、腎癌に対する腎摘除術(RARN)、腎盂・尿管癌に対する腎尿管全摘術(RANU)、膀胱癌に対する膀胱全摘術(RARC)、腎盂尿管移行部狭窄に対する腎盂形成術をロボット支援下で行っています。RANUの膀胱部分切除、RARCの尿路変向(回腸導管)も完全体腔下に行っています。ロボットが3台あるため、泌尿器科では、月~水に2例、木・金に1例(合計週8例)のロボット支援手術を行っています。

副腎・副甲状腺疾患

副腎疾患として、原発性アルドステロン症は当科で負荷試験を行います。手術適応と判断した場合は、放射線科に依頼して静脈サンプリングを行っています。褐色細胞腫や他の副腎腫瘍とともに、腹腔鏡あるいはロボット支援下に手術を行います。副甲状腺疾患は、原発性・腎性(二次性)ともに手術(PTx)を行っています。

泌尿器救急疾患

尿路結石などによる閉塞性腎盂腎炎に対する腎瘻造設術・尿管ステント留置術、尿閉に対する膀胱瘻造設術、膀胱タンポナーデに対する経尿道的止血術などを多数行っています。腎外傷は保存的に、あるいは腎血管塞栓術で経過観察しますが、必要時には腎摘除術を行います。腎膿瘍も必要時には腎摘除術を行います。

その他

排尿障害・前立腺肥大症に対する手術は、経尿道的前立腺切除術(TUR-P)および前立腺吊上げ術(ウロリフト)を行っています。また、腎癌・膀胱癌・前立腺癌に対する放射線治療を放射線科とタイアップして行っています。泌尿器悪性腫瘍に対する薬物治療は、腫瘍内科とタイアップして、最新の治療を行っています。

教育体制

手術

ロボット支援手術は、すべての手技をまず助手として経験します。一人で助手を完遂し、術式を完全に把握した後は、専門医取得前の専攻医でも、certificate取得後にまずはRARPの術者トレーニングを開始しています。各手術をステップに分け、ステップ毎の習熟度を指導医が判定します。RARPではコンソール時間が合計4時間以内となれば、独立した術者と判断しています。RARN、RAPN、RANUでもステップに分け、RARPの独立した術者となる前でも、腎周囲の剥離などから術者を開始しています。基本的に、患者さんの外来を担当した医師が入院時の主治医となり、手術も担当することとしています。

カンファレンス

  1. 手術検討会
    毎週火曜日に手術検討会を行っています。ここでは、2週間後に予定されている全ての症例に対して、泌尿器科医師全員、外来担当看護師、放射線技師などが参加し、経過、検査結果、画像などすべての情報を検討して、手術の適否を判断します。
  2. 勉強会
    隔週木曜に行っています。内容は、当科の診療基準策定、論文抄読会、その時のトピックス、新規薬剤・検査説明会などで、最新の情報で全員で共有しています。
  3. その他
    毎日16:30から泌尿器科医師全員で回診を行い、全ての入院患者の経過・情報を共有します。また、気になる外来患者や他科の患者の方針などを全員で検討しています。

学会発表・論文作成

多数の手術で得られたビッグデータを活用し、積極的に学会発表を行っています。基本的に、日本泌尿器科学会総会・日本泌尿器内視鏡ロボティクス学会・西日本泌尿器科学会・日本泌尿器科学会熊本地方会は全員参加の方針としてます。その他、日本内視鏡外科学会、日本ロボット外科学会、日本内分泌外科学会、日本排尿機能学会などにも参加・発表しています。また院内には臨床研究センターならびに臨床研究管理室があり、研究計画の立案から倫理審査、統計解析、論文執筆までサポートしてもらうことが可能です。

資格取得者数

  • 泌尿器腹腔鏡技術認定医

    4人

2024年4月現在

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