胃がんのロボット手術 ~当日入院・当日手術が可能になりました~
ロボット手術について
術者である医師が手術支援ロボットを操作して行う手術をロボット手術といいます。当院ではアメリカで開発された内視鏡手術支援ロボット「daVinci(ダヴィンチ)」を2013年に導入し、ロボット・低侵襲手術センターを中心に、これまでに2,000例以上の手術を行っています。手術支援ロボットは資格を持った専門の医師が行います。
ロボット手術の主なメリット
- 安定した操作と拡大された視野によって精緻で確実な手術が可能
- 傷口が小さく、出血量が少ない
- 手術後の痛みが少なく、社会復帰が早い

胃がんに対するロボット手術について
2018年から胃がんに対してもロボット手術(ロボット支援下胃切除術)が保険適用となりました。同年8月より当院でもロボットを使った手術を開始しており、術前の検査でロボット手術が最も適している場合に選択をしています。
2021年度における胃がんに対するロボット手術症例数は全国、九州でもトップクラスの実績があり、2022年11月現在、累計100症例を越える手術を実施しています。
日本内視鏡外科学会ではロボット支援手術の円滑な導入と安全な普及を目的に、手術指導が行える「ロボット支援手術プロクター認定制度」を制定しています。当院には消化器・一般外科においては認定を受けた2名のプロクターが在籍しています。

当日入院・当日手術が可能になりました
手術当日入院・手術の取り組みを開始
従来、胃がんに対するロボット手術は前日入院を基本としていましたが、患者さんの要望 に応じて当日入院・当日手術が可能な体制を整えました。在院日数が短縮する他、緊張や不安を感じる手術前日を通常通り自宅で家族と過ごすことができるなど患者さんには大変喜ばれています。
手術当日入院を支える診療体制
当院では医師・看護師をはじめ、多くの職種が連携してハイリスクな手術に対して、より安全で質の高い医療が提供できるように取り組んでいます。
周術期外来専門チーム(PERIO)
2016年、リスクが懸念される手術に対し、全身麻酔の術中・術後の急変リスクを低減するため麻酔科と診療科(外科系)をつなぐ周術期外来専門チーム(PERIO:Perioperative management team)が組織されました。手術前から多職種で診療をサポートし、術中・術後の感染症や合併症など様々なリスクを軽減するために口腔ケアや禁煙支援、栄養指導などを実施しています。この取り組みにより当日入院・当日手術の実現が可能となっています。
3DCTチーム
中央放射線部にCT、MRI、血管造影など放射線画像を作成する専門チームが組織されています。専門の臨床放射線技師が手術やIVR(※)のための三次元画像を作成するなど多くの治療を支援しています。事前に三次元画像を作成し、手術シミュレーションが行える体制があることで当日入院・当日手術でもスムーズな治療が可能となっています。
- IVR:Interventional Radiologyの略。エックス線透視や超音波像、CTなど画像診断装置を使用しながら体内に細い管(カテーテルや針)を入れて病気を治す治療法のこと。

関連情報
- ロボット・低侵襲手術センター
- 胃がん
- 週刊朝日MOOK「手術数でわかるいい病院2022」- 胃がん治療実績(地域別:九州・沖縄)
お話を聞いた先生
集学的がん診療センター(総合腫瘍科)医長
日本内視鏡外科学会 ロボット支援手術 認定プロクター(消化器・一般外科)
田中 秀幸(たなか ひでゆき)

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