高度で専門的な医療への取り組みが多い済生会熊本病院では、様々な場で活躍する機会を得ることができます。
専門分野も多くキャリアアップにも取り組める環境があります。

専門看護師・認定看護師・特定看護師数

2025年4月 現在
専門看護師:3名 認定看護師:14分野 28名(A課程含む)
特定行為研修修了者:39名〈特定認定看護師(B課程)15名、特定看護師24名〉

スペシャリスト種別 修了看護師数
専門看護師 慢性疾患看護 1名/感染症看護 1名/急性・重症患者看護 1名
認定看護師
(A課程)
集中ケア 3名/感染管理 1名/緩和ケア 2名/がん性疼痛看護 1名/がん放射線療法看護 1名/がん化学療法看護 1名/摂食・嚥下障害看護 1名/脳卒中リハビリテーション看護 1名/認知症看護 1名/手術看護 1名/慢性呼吸器疾患看護 1名
特定認定看護師(B課程) クリティカルケア 5名/皮膚・排泄ケア 2名/がん薬物療法看護 1名/心不全看護 1名/脳卒中看護 1名/認知症看護 1名/摂食嚥下障害看護 1名/感染管理 2名/手術看護 1名
特定看護師 術中麻酔管理領域 3名/外科術後病棟管理領域 3名/集中治療領域 6名/救急領域 9名/栄養水分管理 2名/創傷管理関連 1名

専門・認定・特定看護師の紹介

当院では、多くの認定看護師が活躍しています。
高度化・専門分化が進む医療現場において、看護師に求められる役割も変わりつつあります。
看護師としてのキャリアアップのかたちとして認定看護師として専門性の高い看護師を目指すことも可能です。

クリティカルケア看護領域

急性・重症患者看護専門看護師 クリティカルケア認定看護師 集中ケア認定看護師

クリティカルケア領域では、人工呼吸器やECMO装着を要する様な重症患者に対し、きめ細やかなケアをはじめ、循環動態や呼吸管理、感染予防、鎮痛・鎮静の適正化など、複雑な病態に対応する高度な知識と技術が求められます。さらに、倫理的判断や患者・家族への情報提供、意思決定支援も重要な役割です。

集中ケアを要する患者さんは緊急かつ重篤な状態にあり、声を出せない方も少なくありません。私たちは表情やバイタルサインのわずかな変化を見逃さず、患者の訴えや思いに寄り添った看護を実践します。また、患者自身で意思決定が困難な場合は、「患者にとっての最善」について家族と医療チームで繰り返し検討し、治療方針やケアプランにつなげています。

クリティカルケア領域の看護師は、エビデンスに基づく看護を徹底し、患者が回復しICUを退室される瞬間に大きなやりがいと専門職としての誇りを感じます。当院では、多職種協働によるクリティカルケアに必要な知識・技術・倫理観を磨ける環境を整えています。その中で、クリティカルケア領域の看護師が中心となって、院内迅速対応システム(RRS)を通じて急変予兆の把握やフィジカルアセスメント教育にも積極的に取り組み、病院全体の安全性向上に貢献しています。

皮膚・排泄ケア認定看護師

皮膚・排泄ケア認定看護師は、創傷、人工肛門、失禁に関する予防・治療ケアを行っています。患者さんの思いを傾聴しながら、スタッフと一緒にケアを行っています。創傷分野では、褥瘡、下肢創傷等のケアに関わり、専門的治療が必要な際には、多職種が参加する創傷回診に繋げています。創は変化が目に見え、治療やケアの効果が分かり、やりがいに繋がっています。

入院から退院まで継続的に関わり、地域連携施設にケアを継続するために情報交換を行いながら、継続ケアのサポートを行っています。これからも患者さんとご家族、院内スタッフ、地域連携施設との信頼関係が深められるように努力していきたいと考えています。

脳疾患看護領域

認知症看護認定看護師

認知症がある人は、急性疾患や慢性疾患の急性増悪による疼痛や苦痛、見慣れない環境や記憶障害等により、不安から混乱し帰宅願望や易怒性の上昇、せん妄が出現します。認知症の記憶障害にはその都度説明、自己のニーズを言葉で伝えにくい人にはバイタルサインや検査結果、表情、行動等を多角的にアセスメントし、身体症状の緩和や不安の軽減、ニーズに応じたケアを実践します。

現在、認知症・精神科回診、ラウンド、看護師の相談対応を行っています。認知症のある人が、退院後に生活者として生活することを想像し、「できる力」を低下させないケアを多職種で実践し、住み慣れた環境に繋ぐことを目指しています。

脳卒中看護認定看護師 摂食嚥下障害看護認定看護師

脳血管疾患などの疾患だけでなく、加齢や認知症、全身の筋力低下(サルコペニア)は、摂食嚥下障害を生じることが多くあります。特にサルコペニアは、急性期疾患や治療が影響し進行することがあります。そのため、入院する全ての患者さんに対して、誤嚥や窒息のリスクを看護師がアセスメントできる仕組み作りや、誤嚥性肺炎の予防に向けた口腔ケアの充実、多職種で合併症を予防するための栄養管理や割創の推進に取り組んでいます。

口から食べることは、生命維持だけでなく、人としての尊厳や楽しみの一つです。重度の摂食嚥下障害の患者さんでも安全に口から食べることを目指したケアや、患者さんの状態に応じて回復に向けた支援ができるよう多職種と一緒に取り組んでいます。

がん看護領域

がん薬物療法看護認定看護師

がん薬物療法で使用する抗がん剤は、血管外漏出や曝露・副作用といった身体的な影響があるため、安全・安楽・確実な投与管理が必要です。正しい知識の取得と質の高い穿刺技術の提供が必要と考え、抗がん剤のIVナース資格制度を立ち上げ、スタッフ教育に力を入れています。また、がん薬物療法を受ける患者さんは、副作用や予後に対する不安や治療によって生じる身体的苦痛、社会生活への影響など様々な不安を抱えています。多職種と協働することで、安心して治療が継続でき、患者さんがその人らしく過ごし、治療と生活を両立できるよう支援していきたいと考えています。

緩和ケア認定看護師

緩和ケアチームや緩和ケア外来での多職種と連携した活動を中心に、入院・外来の患者さんへのケアや看護相談に対応しています。疼痛をはじめとした体の症状、気持ちのつらさや、療養中に生活で困ったことなどの相談や、治療や療養の場の選択などで悩まれている患者さん・ご家族の支援をしています。がんなどの、難治性の慢性疾患を抱えた患者さん・ご家族は、診断時から体調の変化のなかで、感情と向き合いながら、常にいろいろな意思決定を迫られます。体や気持ちの負担が少しでも軽くなり、患者さん・ご家族の、その人らしい療養法つくりのお手伝いができたとき、看護の喜びを感じます。

がん性疼痛看護認定看護師

私は、2011年から『がん性疼痛看護認定看護師』として活動しています。痛みは主観的なものです。目に見えない患者さんの痛みを、身体的なものだけでなく、精神的、社会的、スピリチュアルの全人的な視点で捉えながら、痛みを体験している患者さんの理解に努めています。そして、痛みを和らげる方法を患者さんと一緒に考えて、実践・評価しています。身体や心のつらさを和らげ、安心して治療を受けられること、その人らしい生活を送ることができるように支援し、患者さん・ご家族のQOL(生活の質)を高めることができるよう、様々な職種と協同しながらケアを提供しています。

がん放射線療法看護認定看護師

私は、2014年にがん放射線療法看護認定看護師の資格を取得しました。おもに放射線治療室で勤務し、根治を目指す治療や疼痛などの苦痛症状の緩和を目的として放射線治療をうけるさまざまな患者さんと関わっています。患者さんが安心して治療を完遂できるよう、放射線治療の有害事象予防に関する情報提供や、治療を選択する際の意思決定支援、そして治療後の有害事象や苦痛症状のフォローに携われることにやりがいを感じ、多職種と連携しながら患者さんを支えています。期待される治療効果が得られたときには、心から嬉しく感じます。

慢性疾患看護領域

慢性疾患看護専門看護師 心不全看護認定看護師 慢性呼吸器疾患看護認定看護師

心不全や慢性呼吸器疾患は、増悪と寛解を繰り返しながら徐々に悪化する病気です。その中で、患者さんは親、子供など様々な役割を担いながら、病いと共に生きています。

私たち慢性疾患に特化した看護師は、患者さんの語りの中から、生きがいや大切にしていることを理解し、苦難を乗り越えてきた強さを捉えながら、患者さんが病いと折り合いをつけて生活できるよう支援しています。

増悪を予防するためには自己管理が重要ですが、一生続けることは容易ではありません。私たちは患者さんの潜在能力を信じ、地域の訪問看護師やケアマネージャーと共に、患者さんの「できた」を一つでも多く積み重ねる看護連携を心がけています。そして、患者さんが自分らしく生きることを大切にしています。

手術看護認定看護師

当院には手術看護認定看護師が2名在籍し、手術を受ける患者さんの看護に関する最新の知識と技術を活かして、身体的・心理的・社会的な状態を総合的に判断し、個別的なケアを実践しています。

手術看護の役割の中心は、手術室内において外回り・器械出しの役割を通して、手術を受ける患者さんの安全・安楽な看護を実践することです。現在は、患者さんやご家族が手術を決定した時から、手術を終えて手術侵襲から回復するまでのプロセスに関わる「周術期看護」へと活動の場を広げています。

当院では、多職種が連携して術前・術中・術後のリスク管理を行う周術期管理チーム(PERIO)があります。その中のPERIO外来では手術室看護師が介入し、麻酔の説明や気道評価、意思決定支援に関わっています。手術が決定した患者さんやご家族に寄り添い、緩和ケアチームを含めた必要なサポートへつなげるなど、不安を軽減し、手術に臨めるように努めています。

当院には術中麻酔管理領域パッケージの特定行為研修者が在籍しているため、共に手術室のリソース看護師としてスタッフへの教育・指導・相談を実践しています。また、手術を受けた患者さんが安全に帰室できるように、回復室で注意すべき観察項目を設定して異常の早期発見に努めています。新人看護師に対してはリソース看護師が回復室で一緒に観察を行い、患者さんの安全確保とスタッフ教育を図っています。さらに、積極的な疼痛介入を通して患者満足度の向上に貢献しています。

これからも手術室のリソース看護師が協力して、周術期看護の質向上と更なる安全性向上につなげていきたいです。

感染症看護専門看護師/感染管理認定看護師

私たちは、病院に関わる全ての人を医療関連感染から守り、安全で質の高い感染看護の実践と医療環境を創造する役割を担っています。

最新のエビデンスに基づき、院内の感染発生状況を分析(サーベイランス)し、最適な対策を計画・実行します。現場での手指衛生や個人防護具の適切な使用方法を具体的に指導・支援することで、感染リスクが低減する確かな成果を実感できます。

また、複雑な問題を抱える感染症患者の看護実践については、専門看護師のシステム思考と特定認定看護師のスキルを融合し、深く関わります。全職員教育や危機的な感染症発生時の対応を通じて、病院全体の安心と信頼を築く、大きなやりがいを感じられる活動です。

特定看護師について

当院は2020年、厚生労働省から「特定行為研修指定研修機関」として認定を受け、研修を開始しました。教育・研究部の傘下に「看護師特定行為研修管理室」を設置し、研修の管理、勤務調整、環境整備を行っています。

現在は、救急領域、集中治療領域、術中麻酔管理領域、外科系基本領域のパーケージを含む16区分31行為を学べる研修を行っています。

また、研修中は特定行為研修のロゴ入りユニフォームを着用し、院内全体で学びを支援する体制を整えています。

キャリアを考える方へ

Q リソースナースとは?
A

特定分野の知識やスキルを持ち、高度な看護実践を行いながら、他スタッフの相談役や教育的役割を担う看護師です。当院では、専門看護師・認定看護師・特定看護師を指してその呼称をしています。

Q 認定看護師と専門看護師の違いは?院内での役割の違いは?
A

認定看護師と専門看護師は、どちらも特定の専門分野で高度な知識と技術を持つ看護師ですが、取得要件と役割に違いがあります。
認定看護師は、特定の教育課程を修了し認定審査を経て、「実践」「指導」「相談」の3つの役割で、現場における質の高い看護を提供します。
一方、専門看護師は、大学院修士課程を修了し認定審査を経て、「実践」「相談」「調整」「倫理調整」「教育」「研究」の6つの役割で、より複雑な課題や組織全体に対応します。
当院では、それぞれの特性を活かし役割を分担しています。認定看護師は、専門性を活かせる臨床現場において、患者さんへの質の高いケアの実践、および看護師へのスキル指導・相談対応といった、専門分野における直接的な看護実践の中核を担っています。
専門看護師は、組織的・横断的な活動を担っており、複雑な倫理的課題の調整、教育プログラムの構築、専門分野の発展のための研究活動など、看護ケアの質の向上とシステムの改善に貢献しています。

Q 認定看護師取得や特定行為ができるようになるための支援制度はありますか?
A

済生会熊本病院では、認定看護師・専門看護師・特定行為研修の受講を病院が全面的にサポートしています。勤務調整や費用補助などもあり、安心して学べる環境です。
また、当院は2020年、厚生労働省から「特定行為研修機関」として認定を受け研修を開始しました。現在は、救急領域、集中治療領域、術中麻酔管理領域、外科系基本領域のパーケージを含む16区分31行為を学べる研修を行っています。
特定行為研修は、医師・多職種による指導体制、研修時間の確保、研修中専用のユニフォームなど研修に専念できる支援体制が整備されています。

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