UNLoading and heart recOvery with ADvanced mEchanical ciRculatory Support
機械的循環補助による心臓アンローディングと心筋リカバリーの探求
心原性ショックは、様々な循環器疾患治療が発展した現在でも多くの患者さんの生命を脅かす致死的病態です。来る心不全パンデミックに備え、心不全の最重症例である心原性ショックの病態解明と治療法の確立が急務です。近年、機械的循環補助の一つである補助循環用ポンプカテーテルの登場など様々なイノベーションがあり、心原性ショックの治療選択肢は増えつつありますが、患者さんの予後改善のための、機械的循環補助の適応病態、患者管理に関するエビデンスの構築は未だ不十分です。 UNLOADERSは心原性ショック診療のエキスパート集団かつ研究集団として、この課題に対峙します。機械的循環補助の特徴である、Mechanical Unloadingが自己心機能の回復につながる可能性を探り、その恩恵を最大限に引き出し、患者さんの予後改善を目指す実践的治療法を追求します。循環器集中治療医の研修プログラムでは、豊富な臨床経験と同時に学術活動への参加ができるプログラムを用意しています。UNLOADERSは、日本における心原性ショック治療のハイボリュームセンター3施設 (北里大学病院、日本医科大学病院、済生会熊本病院)に国立循環器病研究センター循環動態制御部を加えた、臨床と基礎双方のエキスパートから構成されます。心原性ショックにおける課題を解決する“Best Practice”を日本から世界へ発信するため、臨床・教育・研究に邁進しています。
心不全診療を専門領域とする立場から心原性ショック診療を行っています。日常診療の中で得られた気づきや疑問を大事にし、次の患者さんの診療、さらにはエビデンスとして多くの患者さんの診療に活かせることを目指しています。UNLOADERSレジストリでは、メイン解析を担当させていただいています。血行動態の管理目標達成とアウトカムの関係を検証しました。ImpellaやVA-ECMOによる心臓アンローディングの重要性、デバイス離脱時に見るべき血行動態指標が明らかになり、その上でImpellaやVA-ECMO導入後の患者管理における血行動態管理の道標となるべきエビデンスの発信を目指しています。
Impellaの登場によって本邦でも徐々に変わりつつある心原性ショック治療ですが、医師が期待するアウトカムと現状、理論的な効果と実際の運用、地域の理解とハイボリュームセンターの理解などさまざまな場面で乖離があるように思います。他国のエビデンスを追うだけではこれらの問題は解決せず、できるだけ詳細で連続的なデータを収集したレジストリが必要だと考えました。私は主に、循環動態変化に関する解析を担当し、ImpellaやECPELLAが定量的にどのような効果を生み出しているのか?を実臨床データから示していきたいと思います。UNLOADERSレジストリから生まれたさまざまな知見が、日本全地域における心原性ショックに立ち向かう医療スタッフにお役立ちいただけたらと願い、検証・発表を続けていきます!
これまで、TAVIやステントグラフト等のハートチームの施設内立ち上げを多く行なってきた経験を活かし、”心原性ショックチーム”を構築し、質の高い循環器救急集中治療の実践を目指しています。UNLOADERSレジストリでは、予後に関わるリスク評価を検証し、ImpellaやVA-ECMOを用いた患者さんの予後改善に関わるエビデンスを発信していきたいと考えています。
救急上がりの循環器内科医として、集中治療部門にて主に循環器救急、集中治療、補助循環の管理を担当しております。Impellaが本邦で使用可能となり、CPから5.5へのエスカレーションやVA-ECMOとの併用など、選択肢が増えたことで管理がますます複雑化しています。当院では積極的にE-CPRを行っており、ECPELLAにおいても至適管理を模索してきました。今回、MCSエキスパートのメンバーと共にレジストリ研究に参加する機会に恵まれました。特にECPELLAの最適な管理や補助循環の流量に焦点を当てた解析を進めており、これが皆様のご参考になれば幸いです。
第28回日本心不全学会学術集会で池田先生がLate breaking sessionにて
下記演題を発表しました。
「経皮的補助人工心臓導入患者の血行動態管理目標の達成と短期アウトカム:UNLOADERS-PVAD」
< お問い合わせ先 >
TEL: 096-351-8074 済生会熊本病院 人事室直通(平日 8:30~17:00)