患者さんにとって「動脈瘤」や「破裂」という言葉は多くの方の心に突き刺さるもののようです。一般的に問題がないとされる2mmほどの極小の動脈瘤でも毎年MRI撮影での確認を希望されますし、「3年後にフォローしましょう」と約束するときっちり3年後にやって来られます。
少し前の情報になりますが、脳動脈瘤が見つかった方がその後、どのような要因で亡くなられたかを調べた追跡調査があります。
113人の脳動脈瘤保有者のうち、診てもらっている動脈瘤が破裂したか、もしくは増大したかで亡くなられた方は、20人(18%)足らずであったそうです。死因は多い順から心血管障害、動脈瘤とは関係のない脳卒中、がんであったとのことです。したがって、動脈瘤のことよりも禁煙やアルコール摂取量に気を配り、適切な食事で生活習慣病(高血圧や糖尿病など)を予防することが大切と述べられています。また、別の20人は転落や交通事故などのケガで亡くなられたようです。
近年は健康志向ですから、お酒やタバコを摂取しない方も多いでしょう。食事以外ではウォーキングなどの運動習慣を身につけて筋力維持を図り、ケガをしにくい体を作ることが長生きの秘訣だと思っています。
脳神経外科 部長 山城 重雄