当院では2023年5月よりナビゲーションシステムを導入し、脳神経外科領域の主に脳腫瘍の手術で積極的に活用しています。
このナビゲーションシステムは自動車の運転時に使用するカーナビのようなものです。事前に撮影したCTやMRI画像をもとに脳の地図を作成し、手術中はリアルタイムで現在地と目的の位置情報を把握することが可能です。そのため脳の深いところにある腫瘍にも有用で、重要な神経や血管を傷つけることなく安全に手術が行えます。
また、ナビゲーションシステム導入前は頭蓋の切開位置は医師の経験で決定していましたが、システムのナビゲートにより傷口や開頭範囲を小さくすることができるため、患者さんにとって身体への負担の少ない「低侵襲」な手術が実現します。
同システムは脳腫瘍のような脳外科のメジャー手術のみならず、水頭症に対するシャント術や脳出血など、脳への穿刺を主体とする手術でも、確実な穿刺により手術時間を短縮でき、しかも、合併症が減ることが期待されます。
これまでより難易度の高い症例に対しても、安全確実な手術を提供することで、地域医療に貢献できると思います。
対象手術
- 脳腫瘍摘出術および生検術
- 脳動脈瘤クリッピング術
- 脳動脈奇形摘出術
- 水頭症手術
- 内視鏡下血腫除去術
- 下垂体腫瘍摘出術など
脳神経外科 部長 山城 重雄