治療法
Treatment
治療法の種類
未破裂脳動脈瘤の治療方法には、「血管内治療(コイル塞栓術)」と「開頭手術によるクリッピング術」の2つの方法があります。
治療方法の選択は、専門医が患者さんの状態や動脈瘤の部位、大きさ、形など数多くの条件を考えた上で決定します。
血管内治療(コイル塞栓術)
血管内治療(コイル塞栓術)とは
血管内手術と呼ばれる治療法の一つです。手首の血管や大腿動脈という足の付け根の太い動脈から脳動脈瘤の中までマイクロカテーテルという細い管を通します。そのカテーテルを通して柔らかく細いコイルを脳動脈瘤の中に流し込みます。脳動脈瘤の中をコイルで満たし、血液の流れ込む隙間をなくすことで、破裂を防ぐ方法です。
コイル塞栓術は身体への負担が少ない治療法です。難易度の高い治療ですが、当院では資格をもった脳血管内治療専門医が治療を実施しています。
血管内治療(コイル塞栓術)を選択する理由
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未破裂脳動脈瘤の6-7割、破裂脳動脈瘤の8割はコイル塞栓術で対処可能
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数年前からバルーンやステントを用いた方法が一般化したことで血管内治療が発展
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低侵襲で入院期間も短くなる
開頭手術によるクリッピング術
開頭手術によるクリッピング術とは
頭蓋骨の一部を開いて脳の深部に到達し、動脈瘤のネック部分を金属製(多くはチタン製)のクリップで挟むことによって動脈瘤内に血流が入らないようにして破裂を防ぐ方法です。
顕微鏡を用いて行うマイクロ手術と呼ばれ、非常に困難な手術の一つで専門医が行う必要があります。全身麻酔下での比較的長時間の手術になりますので、身体への負担は大きくなりますが、より確実な治療方法です。
クリッピング術を選択する場合
原則は以下の8つのガイドラインに沿って、手術を行うか総合的に判断しています。
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5mmを越える脳動脈瘤であるもの
※5mm以下でも部位等によっては適応になる
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bleb※が存在するなど不整形であるもの
※脳動脈瘤の壁の弱い部分が飛び出したもの
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経過中に大きくなったり、新たに発生が確認されたもの
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くも膜下出血の治療時に発見されたもの
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くも膜下出血の家族歴がある場合
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多発動脈瘤(2つ以上の脳動脈瘤)がある場合
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本人のQOL※が低下し、手術の希望が強い場合
※生活の質
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70歳以下で重大な全身合併症がない場合