脳動脈クリッピング術
Clipping
脳動脈クリッピング術とは
様々な脳動脈瘤に対応が可能
歴史がある治療法で、術後の成績が⻑期間良好なことがわかっており、複雑な形態の脳動脈瘤にも対応が可能です。
開頭での手術となりますが、できるだけ傷跡が目立たないよう髪を刈ったり剃ったりすることがない「無剃毛手術」で行います。入院期間は10日間程度で、極めて早い社会復帰が可能です。
これまでつちかったクリッピングの技術を踏襲しつつ、皮膚切開と開頭を最⼩限にし、コンパクトな低侵襲⼿術を実施します。
クリッピング術が優れている点
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根治性が高い
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脳動脈瘤が脳の表面に近い場合に適している
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小さな脳動脈瘤(3mm未満)では安全性が高い
治療の流れ
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1
手術の多くは左右どちらかのこめかみの部分を開頭する。
※当院では基本的に完全無剃髪での手術。
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2
脳動脈瘤の首を金属製のクリップで挟む。
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3
これで脳動脈瘤内に血液が流れ込まなくなる。
脳動脈瘤のクリッピングによる治療の前と後
動画で見る脳動脈クリッピング術
※この動画には手術シーンが含まれているため、年齢制限を設けており、視聴にはYouTubeへのログインが必要です。苦手な方は視聴をお控えください。
当院の脳動脈クリッピング術の特徴
【特徴1】身体にやさしいチタン製のクリップを使用
クリッピング術は、脳動脈瘤の根っこの部分をチタン製のクリップで挟み込み、動脈瘤内に高い圧力の血液の流入を遮断することによって破裂を予防する手術です。用いるクリップはチタンという身体にやさしい金属から作られていて、磁石にくっつかない性質をもっているため、手術後にMRIの検査も可能です。クリップの挟む力はかなり強く、きれいにクリッピングされていれば、以後外れることはありません。
【特徴2】安全性を高めるための取り組み
開頭クリッピング術を安全で確実に⾏うために、⾎管の裏側を観察するための内視鏡をはじめ、脳⾎管内の⾎流を⾳で確認できる超⾳波⾎流計、脳内の運動神経の働きを⼿術中に確認できる運動誘発電位(MEP)などの各種のモニタリング装置を使⽤しています。
さらに、⾎液の流れを顕微鏡下で確認できる⼿術⽤顕微鏡を導⼊したことで、より⾼度で安全な⼿術が可能になりました。
【特徴3】経験ある専門医が行う確実な治療方法
手術用顕微鏡を通して細かい作業を必要とする手術で、専門医が行います。全身麻酔下で5時間前後の手術となり、脳血管内治療に比べると身体への負担はやや大きくなりますが、確実な治療方法です。当院は過去20年間で2,000例近くのクリッピング術の経験があり、術者はそのノウハウを受け継ぎ、安全で確実な手術を心がけています。近年は皮膚切開と開頭を小さくし、低侵襲で身体に負担の少ない手術を目指しています。