血管内治療(コイル塞栓術)
Coiling
血管内治療(コイル塞栓術)とは
身体に負担の少ない低侵襲の治療
血管内治療(コイル塞栓術)は、すでに海外では2000年代から、国内でも2010年代から増えています。
手首の血管や大腿動脈という足の付け根の太い動脈から脳動脈瘤の中まで、1本のマイクロカテーテルという太さ1㎜以下の細い管を通します。そのカテーテルを通してプラチナ製の柔らかく細いコイルを 脳動脈瘤の中に流し込んでいきます。脳動脈瘤の中をコイルで満たしてしまい 、血液の流れ込む隙間をなくすことで、破裂を防ぐ方法です。クリッピング術と違い、頭の皮膚を切開する必要がありません。そのため、身体への負担が少なく、高齢の患者さんでも受けやすい治療法です。
血管内治療が優れている点
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頭を切開する必要がなく、外見上の傷が残らない
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クリッピング術での治療が困難な部位にも届く
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入院期間が1週間程度と短い
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治療時間が1~3時間と短い
治療の流れ
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1
足の付け根にある大腿動脈からカテーテルを挿入(※)し、X線透視脳血管造影を行いながら、脳の血管の中にカテーテルを押し進める。
※症例によっては腕の血管からカテーテルを挿入する場合もあります。
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2
脳動脈瘤の中にコイルと呼ばれるとても柔らかく細い白金(プラチナ)の糸をすき間なく埋める。
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3
脳動脈瘤の形態が不規則な場合などは、複数のカテーテル、バルーン、ステント(※)を使うこともある。
※バルーンアシストテクニックとステントアシストテクニックについてはこちら。
動画で見る血管内治療(コイル塞栓術)
※この動画には手術シーンが含まれています。苦手な方は視聴をお控えください。
当院の血管内治療(コイル塞栓術)の特徴
【特徴1】様々な形態の動脈瘤が治療可能
ステントという金属製の筒が登場し、これにより脳動脈瘤からコイルが逸脱するのを防ぐことができるようになりました。
ステントは十分な時間が経過すれば、血管内皮に覆われるとされるため、その後は血管の内側からはステントが見えなくなると考えられています。そのため、様々な形態の脳動脈瘤の治療が可能となり、このステントの登場で脳動脈瘤に対する血管内治療の適応は飛躍的に広がりました。
バルーンアシストテクニックとステントアシストテクニック
【特徴2】当日入院でも症例を実施
前日まで普段通りご自宅で過ごしていただけるよう治療当日の入院を実施しています。一般的に、血管内治療は脚の付け根からカテーテルを導入しますが、当院では傷が小さく身体への負担が少ない腕の血管からのカテーテル挿入を推奨しています。脚の付け根から挿入した場合は、治療後3時間程度は安静にしなければならず、入院が必要となりますが、腕の血管から挿入した場合は、短期間の入院、もしくは治療当日の退院が可能となります。
【特徴3】充実した専門医による治療の実施
当院には脳血管内治療専門医が3名在籍しており、担当医師だけでなく脳神経外科医師全体でディスカッションをしながら、治療を進めています。常に最新の医学情報や技術、知見を取り入れ、安全性の高い治療に取り組んでいます。