院長挨拶

院長挨拶

済生会熊本病院 院長
すべてのいのちの虹になりたい
済生会は、1911年(明治44年)、「生活に困窮し、医療を受けられずにいる人々を救済するように」と、明治天皇より賜った「済生勅語」を起源としています。日本最大の社会福祉法人であり、全職員約64,000人が40都道府県で、医療・保健・福祉活動を展開しています。現在、第6代総裁に秋篠宮皇嗣殿下を戴いており、昨年5月30日、創設110周年を迎えました。
済生会は3つの目標を掲げています。生活困窮者支援の積極的推進、最新の医療による地域への貢献、そして切れ目ない医療と福祉の提供。1935年(昭和10年)設立の私たち済生会熊本病院も、この目標に沿って、「医療を通じて地域社会に貢献します~質の高い医療を済生のこころとともに~」との理念を掲げ、基本方針として、「救急医療」、「高度医療」、「予防医療」、「地域連携」、そして「人材育成」の5つを活動の中心に定めています。
わが国で新型コロナウイルス感染症患者が確認されてから、2年あまり。コロナ禍を経験して、これからどのような社会を創るべきなのか、私たちは歴史的な選択を迫られています。感染症そのものは人を選びませんが、その影響を最も強く受けたのは、医学的にあるいは社会的に「弱い立場」の人たちです。明治の終わり、当会創立の目的は、国の発展から取り残されながら、自ら声を上げることのできない生活困窮者を救うことでした。いま、この令和の時代となっても、私たちの社会は、新たなかたちの弱者を生み出し続けています。
私たちの誰しもが、誰かの助けを必要とする「弱い立場」になりうる不確実な時代に、私たちの仕事、すなわち地域に手を差し伸べ、人々と手を取り合って、医療・保健・福祉のセーフティ・ネットを構築していく意味は、決して小さくないと思います。病、老い、障がい、そして境遇に悩むすべてのいのちの虹になりたい。私たちはそう願って、いのちに寄り添い続けます。
2022年(令和4年)4月