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済生会熊本タイムズ

地域に最先端の医療をいち早く提供する当院の取組みや様々な情報をご紹介します。

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この仕事を選んだ私ー救命救急HCU主任・特定行為研修管理室 増田 博紀ー

この仕事を選んだ私ー救命救急HCU主任・特定行為研修管理室 増田 博紀ー

自衛隊員か、料理人か、看護師か。

子供の頃は目立ちたがり屋で、小・中学校は野球づけ。所属チームではキャプテンも務めました。全国大会まで出場しましたが、憧れである兄が自分よりはるかに野球センスが良く、「これ以上続けても兄を超えられない」と高校では野球を続けませんでした。

高校は商業科で、就職や進学を考える時期になっても漠然と「手に職をつけたい」「人と触れ合う仕事がしたい」という程度で、まだ進みたい方向は見えていませんでした。だから自衛隊を受けたり、料理人も考えました。そんな時、看護系の高校に進学した友人から話を聞くうちに、看護師という選択肢が芽生えたように思います。女性が多くて楽しそう、高齢化社会で仕事に困らなさそう、というイメージもありました。看護師を甘く見ていますよね(笑)。

学生時代に出会った、 救急のベテラン看護師

高校卒業後は、日中は働いて、夜に看護学校に通う生活を5年間続けました。日中のアルバイト先は病院の救急医療部門。その病院は医師と看護師はもちろん各職種がすごく対等にコミュニケーションを取っていました。なかでも、あるベテラン看護師さんは、看護的側面はもちろん医療的ケアなどまで俯瞰的・主体的に働かれていて、医師も含めて皆がすごく頼りにしていました。そんな先輩の姿を見るうちに、当初はあくまで学生時代の経験と考えていた救急の仕事を、生涯の仕事として就職時に選択するようになっていました。

患者さんの厳しい指摘が 今でも自分の糧に。

新卒でこの済生会熊本病院に入って17年になりますが、未だに忘れられない出来事があります。1年目の終わり頃、「医療人としての立ち振る舞いに、患者さんから指摘があった」と上司から注意を受けたのです。まだ1年足らずなのに仕事に慣れてきたと勘違いして、知らず知らずのうちに患者さんに浮ついた印象を与えていたという事実に、非常に恥ずかしくなって、ものすごく後悔して、かなり落ち込みました。

この経験が、技能面でも心構えという意味でも、患者さんのことを第一に考えて仕事に取り組もう、と改めて考えるきっかけになりました。患者さんやご家族に敬意を払った話し方をすること、苦痛や不安と闘っている患者さんが病気を治すことに集中できる環境づくりなど、看護師としての基本的な役割を改めて意識できたという意味で、今日に至るまでの仕事の上で大きな糧となっています。

次の目標は、 後輩たちのレベルアップ。

私は男性看護師としては2期生で、男性が少なかったこともあって、さまざまな挑戦のチャンスをいただけています。看護師としての専門性を高める「集中ケア認定看護師※1」の資格取得や、より迅速なケアの患者さんへの提供と医師のタスクシフトにもつながる「特定行為研修※2」を修了することで、現在は看護師だけでない部署横断的な活動もしています。また「災害派遣医療チーム(DMAT)※3」の資格も取ったことで、熊本地震や八代の豪雨災害などの被災地へ救援に入り、病院外で医療人として社会貢献する経験も積むことができました。

私という人間は、芯が無いというか、「誰がなんと言おうと自分はこうしたい!」というものはありません。置かれている状況を考えて、「こういう役割を担うのが良いだろう」と、周りを見ながら対応するタイプです。そんな私が今後、病院から求められている役割は、自分自身のスキルアップ以上に、持っている技術や経験をいかに後輩に伝えていくか、だと感じています。当院には意欲的な後輩が多くいますし、最近の若い子は意見を主張できて興味や積極性もあるので、そういうスタッフが医療人として成長するための手助けができればと思います。

1 集中ケア認定看護師:「認定看護師」は、その分野の高い専門知識と技術を持つことが日本看護協会から認められた看護師。「集中ケア認定看護師」は、生命の危機状態にある患者の早期回復、重篤化の回避、合併症の予防などを行う。

2 特定行為研修:専門的な知識と技術が必要とされる特定行為(診療の補助)を、看護師が行えるように厚生労働省により制定された研修制度。通常では、看護師は患者の病状や変化を医師に逐一報告し、判断や指示を仰いでいたものが、定められた行為に関しては、あらかじめ医師が作成した指示書をもとに特定看護師の判断で行えるようになる。

3 災害派遣医療チーム(DMAT):災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム。医師、看護師、救急救命士などで構成され、大規模災害や事故などの現場に派遣される。DMATは「Disaster Medical Assistance Team」の略。

元気になってもらえたら 記憶に残らなくていい。

同じ看護師でも、一般病棟と比べて、救急の現場は患者さんが重篤な状況なので、「人とふれあう仕事」には違いありませんが、描いていたような双方向のコミュニケーションは取りにくい状況もあります。でもやっぱり、当院での治療が一段落して患者さんが無事に退院・転院されたことを聞くと、とても嬉しくやりがいを感じます。元気になってもらえたら、自分の仕事が患者さんの記憶に残っていなくてもいいんです。これからも患者さんとの時間を大切にして、最善の治療やケアを提供できるよう努力を続けたいと思います。

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