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済生会熊本タイムズ

地域に最先端の医療をいち早く提供する当院の取組みや様々な情報をご紹介します。

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胃がん切除のロボット手術を「当日入院」で。

手術に、当日入院という新しい選択肢

当院は2013年に、内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」を南九州で初めて導入しました。対象疾患の拡大とともに2018年からは2台体制となり、手術実績は2500例を超えています。

そのダヴィンチでのロボット手術以外も含めて、手術というものは基本的に前日(もしくはもっと早く)からの入院が一般的です。そのような中で当院では、胃がんの切除手術の患者さんで一定の条件をクリアした方を対象に、2019年9月から、手術当日の入院でも可能な体制をスタートさせました。

よりリラックスして手術に臨める

当日入院の最大のメリットは「患者さんの気持ち」。前日から入院した場合、検査後は時間が空くので、病室で何をするでもなく過ごすことに。すると、もう翌日の手術のことばかり考えて精神的に良くない。非日常の、しかもコロナで家族も病室に入れないため孤独な環境です。手術当日の入院なら、前日を家族と普段どおり一緒に過ごせて、よりリラックスして手術を迎えられます。

コロナ対応の意味でも入院期間は短いほうが望ましいですし、病院としても、病床が逼迫しがちな中で、より必要な患者さんにベッドをまわせる。客観的にもメリットが多いといえます。

必要な検査や退院までの日数は同じ。

胃がん切除のロボット手術を受ける患者さんは、入院が前日でも当日でも、「PERIO(ペリオ)」での精密検査を事前に終えていることが前提になります。

前日入院でロボット手術を行う中で、前日に病院ですることは、採血やレントゲンなどあまり多くなかった。それなら、事前の精密検査がきちんとできていれば、入院が手術当日でも大丈夫と考えたのです。
前日入院でも当日入院でも検査のタイミングが違うだけで、検査内容は基本的に同じです。術後の退院までの期間も、4〜10日程度で同じです。
もちろん、すべての患者さんで当日入院が可能というわけではありません。自力で歩けない方、貧血がひどい方、心機能が弱い方などは、状態の変化の可能性もあるため手術前日から入院いただいて検査をします。遠方の方も来院途中に何かあってはいけないため前日までに入院いただいています。年齢は80歳を目安にしていますが、状態の良かった88歳の方を当日入院で手術した症例もあり、あくまで目安です。。

これらの条件をチェックリスト化し、精密検査の結果とあわせて、看護師が当日入院が可能か判断してくれています。この判断が正確なおかげで、当日入院が原因の問題は1件も起きていません。

胃がん切除患者さんのうち、当日入院が可能な方はおよそ7割です。いずれにせよ、最終的にはご本人やご家族の意向をふまえて決定します。

当日入院は、いずれ広まっていく。

厳密に調べたわけではないのですが、手術当日の入院を実現しているのは全国でも当院だけのようです。おそらく、万が一の検査漏れがあっても、前日入院ならすぐ検査できるからだと思いますが、当日入院はそれ以上にメリットが多いので、いずれ広まっていくのではと思います。

胃がん切除のロボット手術は、当院をはじめ、九州でも全国的にも確実に実績が増えています。患者さんにより安心いただくためにも、今後もしっかり症例数を積み重ねていきたいです。

手術当日入院を支える診療体制

周術期外来専門チーム(PERIO)

PERIOは「Perioperative management team」の略称。
麻酔科と診療科(外科系)をつなぐコンサルテーションチーム。医師のほか、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士など多職種から成り、胃がん切除手術をはじめとするリスクの高い手術を受ける患者さんを対象に、術中・術後の様々なリスクを低減するための精密検査を行います。

胃がん切除手術をはじめ、リスクの高い手術を受ける患者さんを対象に、術中・術後の様々なリスクを軽減するための精密検査を行います。
その検査内容は多岐にわたり、例えば歯周病があれば菌が血中に回って敗血症になる可能性があることから、胃がんの手術であっても歯の検査から行います。それくらい細かく検査するため、「全身検索」とも呼ばれます。

手術当日の入院が可能なのは、このPERIOによる精密検査が前提となっています。

3DCTチーム

中央放射線部にCT、MRI、血管造影など放射線画像を作成する専門チームが組織されています。専門の臨床放射線技師が手術やIVR(※)のための三次元画像を作成するなど多くの治療を支援しています。事前に三次元画像を作成し、手術シミュレーションが行える体制があることで当日入院・当日手術でもスムーズな治療が可能となっています。

  • IVR:Interventional Radiologyの略。エックス線透視や超音波像、CTなど画像診断装置を使用しながら体内に細い管(カテーテルや針)を入れて病気を治す治療法のこと。
 3DCTチーム

「前日、家族と過ごせてよかった」という喜びの声

当院では2019年9月から、胃がん切除のロボット手術を、手術当日の入院で行える体制をスタート。これまで39例の実績を積み重ねています。
全国的にも例のない取り組みで、前日入院と比べて多くのメリットがあります。

当日入院の主なメリット

  • 緊張や不安を感じる手術前日を通常通り自宅で家族と過ごせる。
  • 前日入院よりリラックスして手術に臨める
  • 在院日数が短縮(検査内容は前日入院と基本的に同じで術後から退院までの期間も同じ)

胃がんに対するロボット手術について

2018年から胃がんに対してもロボット手術(ロボット支援下胃切除術)が保険適用となりました。同年8月より当院でもロボットを使った手術を開始しており、術前の検査でロボット手術が最も適している場合に選択をしています。
2021年度における胃がんに対するロボット手術症例数は全国、九州でもトップクラスの実績があり、2022年11月現在、累計100症例を越える手術を実施しています。
日本内視鏡外科学会ではロボット支援手術の円滑な導入と安全な普及を目的に、手術指導が行える「ロボット支援手術プロクター認定制度」を制定しています。当院には消化器・一般外科においては認定を受けた2名のプロクターが在籍しています。

STAFF

関連情報

お話を聞いた先生

田中 秀幸

集学的がん診療センター(総合腫瘍科)医長
日本内視鏡外科学会 ロボット支援手術 認定プロクター
(消化器・一般外科)
日本ロボット外科学会(消化器外科分野 専門医国内A級)
田中 秀幸(たなか ひでゆき)

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