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済生会熊本タイムズ

地域に最先端の医療をいち早く提供する当院の取組みや様々な情報をご紹介します。

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通院日数を減らし 日々の生活に寄り添う、乳がん放射線治療の新たな選択肢~「寡(か)分割照射」

仕事や育児を行いながら治療する方の新たな選択肢に

乳がんの手術後は、再発を防ぐために放射線治療を行うことが一般的です。放射線治療は身体にメスを入れないという点で身体への負担が少ないことや、多くの患者さんは外来通院で実施可能であるということが特徴ですが、その一方で多数回の通院が必要になります。当院では通常1日に2Gy(グレイ)※1の治療を25日間※2実施していますが、治療に1ヶ月以上かかるため、通院だけでも大きな負担がかかります。

そこでこのたび、1日の治療線量を増やして治療日数を減らす「寡(か)分割照射」を開始しました。通常の照射法に比べて最大10日間治療日数を短縮することができ、仕事や育児を行いながら放射線治療を受ける方の新たな選択肢となることを期待しています。

1 Gy(グレイ):放射線が物質に当たった際、その物質に吸収される放射線量を表す単位

2 ブースト照射(追加照射)が必要な方はさらに5日間が追加となります。追加の必要性は医師が判断します。

乳がん放射線治療の寡分割照射とは?

乳がん放射線治療の寡分割照射では、1日2Gyから2.66Gyに線量を増やすことで、治療日数を16日間※3に減らすことができます。通常の1日あたりの線量と治療日数、治療総線量との比較は下記の表をご覧ください。

通常の照射と寡分割照射の比較

1日あたりの線量 治療日数 治療総線量
通常 2Gy 25日 50Gy
寡分割照射 2.66Gy 16日 42.56Gy

3 ブースト照射(追加照射)が必要な方はさらに5日間が追加となり、治療総線量もその分増加します。

これまでの研究によって、寡分割照射の治療効果や副作用は通常の治療とほぼ同等であると報告されています。欧米では、寡分割照射を標準治療としている国も少なくありません。日本国内の乳癌診療ガイドライン最新版でも「乳癌の寡分割放射線治療は通常分割照射と同等の治療として推奨する」と記載されています。

寡分割照射を希望される方へ

  • 対象となるのは乳房と腋窩リンパ節領域に限ります。その他のリンパ節への照射は対象外です。
  • 加入されている医療保険の種類によっては十分な保険金の給付がされない場合があります。またがん保険の中には「放射線治療の保険適応は総線量が50Gy以上」という規定がある場合があります。事前に契約内容をご確認ください。
  • 寡分割照射を希望されても、医師が困難と判断した場合は通常の治療法となる場合があります。
  • 当院では、DIBH(深吸気息止め放射線治療)という心臓の放射線被ばく低減を目的とした息止め放射線治療も実施しております。左乳がん術後の方はこちらの治療法を優先させていただく場合があります。

患者さんの日々の生活に寄り添うために

がんと診断された多くの患者さんが、不安を抱えながら生活をされています。当院ではがん診療を推進することはもちろんのこと、患者さんが安心して治療に専念できるよう、日常生活と治療との壁を少しでも低くすることにも取り組んでいます。寡分割照射のような照射方法に関する取り組みのほか、女性患者さんの放射線治療の際には主に女性技師が対応することで、患者さんに寄り添う診療を目指しています。乳がんの診療に際して疑問や不安をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

女性患者さんの放射線治療の際には主に女性技師が対応

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