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済生会熊本タイムズ

地域に最先端の医療をいち早く提供する当院の取組みや様々な情報をご紹介します。

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唯一無二の「済生会」の成り立ちと歴史

「済生会」とは?「恩賜」とは?

「済生会って何ですか?」という質問をいただくことがあります。ひとことで言うと「日本最大の社会福祉法人」ですが、もっと重要な特徴があります。
済生会の正式名称は「恩賜財団 済生会」。「恩賜」は「天皇陛下から賜ったもの」という意味で、在位中の1911年、「生活苦で医療を受けられず困っている方々を救済しよう」と、明治天皇から資金を下賜される形で設立されました。このお言葉は「済生勅語」と呼ばれ、名称の由来になっています。「済生」とは、「生(いのち)を済(すく)う」という意味です。
その設立趣旨から、第二次大戦後まで無料または低額で医療を提供。貧困世帯に無料の特別診察券を配布したり、困窮者の多い地区を回って診察や保健指導を行いました。当時、このような慈善事業は社会的に注目されておらず、むしろ偏見の対象ですらあったものが、皇室が顕彰したことで社会的地位が大きく向上したと言われています。
終戦後、1952年に社会福祉法人として再スタート。それを機に一般の患者さんからは治療費を受け取る形になりましたが、設立時の趣旨である、困窮者向けの無料低額診療は現在も続いています。

下賜:天皇陛下や皇族の方々が物などを提供されること

済生会の歴代総裁

済生会の歴代総裁

時代の変化で生まれた新たな困窮者も救えるように。

困っている方を救うための無料低額診療ですが、時代とともに「困っている人」が多様化し、カバーしきれない問題も生まれてきました。
たとえば、所得が生活保護の基準を少しだけ上回っていて保護が受けられない方、少ない年金でギリギリの生活をする高齢者、着の身着のままで避難したDV被害者、更生保護施設で社会復帰を目指す方、さらには母子家庭や児童虐待、ハンディキャップを持つ方、在日外国人、単身の高齢者世帯の増加に伴う身元保証の問題など・・・。所得格差の拡大に伴う貧困層の増加や、地縁・血縁の希薄化など、社会経済環境の変化に伴い、経済的困窮や社会的孤立などが複雑化・深刻化しています。
このような方々を支援する仕組みとして始まったのが、「なでしこプラン」。訪問診療や健康診断、予防接種などを無料で提供しています。2010年の開始から延べ193万人に提供されています。
また、医師や看護師とは違う立ち位置で、治療費や生活面など患者さんのさまざまな相談に乗る「医療ソーシャルワーカー(MSW)」。相談を聞いて、解決のために医師や看護師、あるいは院外の行政や福祉施設などに連絡・連携します。このMSWの必要性にいち早く気づき、1928年に日本で最初に導入したのが芝病院(現・東京都済生会中央病院)と言われています。

NPOなどと連携した、きめ細かな支援ネットワーク。

済生会熊本病院では、支援を必要とする方を一人でも多く救えるよう、NPO法人や更生保護施設、地域包括支援センター、生活自立支援センター、行政などと積極的に連携しています。たとえば、刑務所から出所する際に健康面で不安がある場合は、無料低額診療事業で治療を実施して、社会復帰後は地域の医療機関への橋渡しをしています。
また本館1階の「相談窓口」には、様々な事情を抱えた方が来られます。そのような方は気弱だったり遠慮しがちなため、相談しやすい雰囲気づくりや目配り・気配りを心がけています。たとえば、無職で就職活動をしている患者さんがいつも同じシャツを着ていたため、支援物資からシャツをお渡ししました。別のがん患者さんの通院が急に途絶えた際には、実は治療費が底をついたことが原因とわかり、すぐに無料低額診療の手続きを取って治療を再開しました。
また当院では、ハンディキャップを持つ方の就労支援事業として、ベーカリー&カフェ「オリーブ」や、お弁当店「カーサ」、清掃作業などに従事しています。全国の同様の支援事業の中でも、当院の就業率は特に高いものとなっています。

全国の済生会の一員として。

全国に広がる済生会は、40都道府県で403施設(うち、病院81施設)あります。それぞれ独自に運営しながら、たとえば2016年の熊本地震の際には全国の済生会から多くのスタッフが駆けつけ、たくさんの物資が届くなど、全国組織としての連携も強みになっています。
独自の事業としては、岡山・広島・香川・愛媛の4県の済生会支部が、共同で「済生丸」を保有・運営しています。“海をわたる病院”として瀬戸内の離島を巡回しているもので、船は1962年の開始からすでに4代目となっています。1995年の阪神・淡路大震災では、陸路が寸断される中で海からいち早く駆けつけ、災害支援船として41日間にわたり支援活動を行いました。

 

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