難易度の高い手術をより安全に。3Dの検査画像で手術支援!
CTやMRIなど、診療放射線技師が関わる検査には様々なものがありますが、そのいずれにも検査結果としての「画像」がつきものです。レントゲン撮影のX線写真というと、想像のつく方も多いのではないでしょうか。このように、医師が行う画像診断のために様々な画像を提供するのが診療放射線技師の主な仕事の1つです。近年、これらの検査画像に3D※処理を行う取り組みが始まっています。3Dの検査画像とはどのようなものなのか、その取り組みの一端についてご紹介します。
- 3D:三次元、立体的なもの
ロボットによる胃がん手術時に作成した3D画像
3D画像処理に特化したセクションを発足
中央放射線部では、2019年から放射線画像の3D処理を行うチーム”3D Innovation Room”が始動しています。きっかけは、手術を行う診療科からの要望もあり、3D画像へのニーズが高まってきたこと。2019年にはロボット・低侵襲手術センターも開設され、低侵襲手術への気運がますます高まっていました。同時に検査機器も高度化・高性能化する中で、検査の結果得られる画像の精度があがり、機械や手作業で処理することで3D化することも可能となっていました。
3D Innovation Roomのメンバー
診断だけでなく 手術支援まで
3D処理が始まった当初、画像は主に診断に活用されていました。しかし近年、治療の低侵襲化を背景に、通常の診断だけではなく、手術難易度の判断や手術支援にまで活用の幅が拡大しています。ロボット手術やカテーテル治療では以前よりも術野が狭く、手術の難易度が高くなっているため、医師から術前により多くの情報を求められるようになったのです。例えば、手術対象の臓器に隣接した血管の形状や位置の把握、腫瘍と臓器間の距離計測など、3Dで得られる情報からは立体的な位置関係を把握することができるため、実際の手術を想定したシミュレーションを行うことも可能となります。患者さんの体内の様子を術前によりリアルに確認しておくことで、難易度の高い手術にも対応することができるのです。
画像処理の様子
また3D Innovation Roomでは、ほぼ全ての外科系カンファレンスに放射線技師が出席し、日頃から医師と密なコミュニケーションをとっています。医師が治療方針などを話し合うための材料として3D処理した検査画像を提示し、その中で、「よりこの部分を透かして見たい」「さらに背部の状態を確認したい」などの要望をもらうこともあります。
なお、これらの3DデータをVRとして応用できる技術も続々と開発されています。3D画像処理をかけた検査データをVRグラスなどに取り込むことで、VR空間上で自在に臓器画像を操作することができるようになるのです。オペ中の医療スタッフ全員がVRグラスを装着しながら手術に臨むーーーーそんな近い未来の姿を見据えながら、当院の3D Innovation Roomは日々の活動を行っています。