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済生会熊本タイムズ

地域に最先端の医療をいち早く提供する当院の取組みや様々な情報をご紹介します。

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ガンマナイフ ― 意識障害、言語麻痺…。脳の病巣をたった1日、9割の確率で取り除く。―

脳の奥深くの病巣を、大がかりな開頭手術をすることなく、放射線(ガンマ線)を使って除去する機器「ガンマナイフ」。当院のガンマナイフが、2016年1月最新の機器に変わりました。

従来、6時間を要した治療時間が30分~1時間に短縮。以前は治療途中で姿勢を変える必要がありましたが、新機器はベッド自体が動くため、眠ったまま治療を完了することも可能です。専用の治療室は防音壁になっており、音楽をかけてリラックスした状態で治療も行うことができます。

ガンマナイフ

意識障害、言語麻痺…。脳の病巣を たった1日、9割の確率で取り除く。

脳の中の病巣を取り除きたい時、以前は、外科手術で開頭して、取り除くしかありませんでした。しかし、脳の深部にあるものは手術自体が困難なものもあります。そのような外科手術の代わりに、放射線を使って、開頭せずに病巣を取り除く。それを可能にしたのがガンマナイフです。「ナイフ」なんて少し怖い名前ですが、実はその名の通り、放射線(ガンマ線)を使って、脳の中の病巣をナイフで切り取るように取り除く機器。

ベッドに横になった患者さんの頭をしっかり固定したうえで、ビーム状の放射線を、約200方向から一点の病巣めがけて照射して治療します。この「約200方向から」というのがポイント。放射線1本ずつは微弱で、約200本の放射線が重なるのは病巣の部分だけ。だから、病巣にはしっかり放射線の効果が表れても、脳のそれ以外の部分にはほとんど影響がありません。 もし、治療に必要な放射線を1方向だけから照射すれば、病巣の手前にある正常な組織にも同量の放射線が届き、悪影響が出てしまいます。放射能酔い、髪が抜けるなどの副作用も生じます。

また、通常の放射線治療は3~6週間程度の通院が必要なのに対し、ガンマナイフは1回で完了します。しかも3cm以内の腫瘍なら、約9割の確率で治療が成功し、翌日からすぐに仕事や運動も可能となります。 また1日で10ヶ所以上の病巣にもアプローチが可能で、多発性の脳腫瘍も短期間で治療できます。県内では当院のみ(2016年1月現在)、九州では約10施設で使われています。

最新機器導入でよりカラダへの負担が少なく。

当院では1999年からガンマナイフを採用してきましたが、2016年1月より最新鋭の機器を導入しました。従来2~6時間を要した治療時間が30分~1時間に短縮。治療途中で姿勢を変える必要がありましたが、新機器はベッド自体が動くため、中断して患者さんが姿勢を変える必要がなく、眠ったまま治療を完了することも可能です。専用の治療室は防音壁になっており、音楽をかけてリラックスすることもできます。

このように低侵襲なガンマナイフは、高齢の方や、脳の深部に病巣があって手術が困難な方でも、治療に取り組むことが可能です。対象となる疾病は、脳腫瘍、脳血管奇形など。2015年7月からは三叉神経痛も保険適用となりました。

一度失った意識や言語がもう一度、戻ってくる。

ガンマナイフは、脳の病巣を取り除く機器。脳に病巣がある患者さんは、意識障害や言語麻痺があることもあります。そのため、ガンマナイフ治療が成功すると、「意識障害が回復した」「もう一度しゃべれるようになった」「もう一度歩けるようになった」などの大きな変化があります。ご本人はもちろんご家族から、感謝の言葉をいただくことが多くあります。

一方で、ガンマナイフ治療を受ける方の半数以上は転移性脳腫瘍で、脳以外にも重篤な疾患がある状態。この治療が成功しても、他の患部の治療が続くため、すぐに退院・社会復帰とはなりにくいのが現状です。しかし脳の病巣が根治することで、他の患部の治療にも可能性が開けてくる場合があります。脳の疾病に悩む方にとっては奇跡的といっても過言ではない、これからの治療法のひとつです。

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