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済生会熊本タイムズ

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小腸疾患の検査の負担を少なくするカプセル内視鏡を導入

小腸疾患の検査の負担を少なくするカプセル内視鏡を導入

今秋、済生会熊本病院では、小腸内検査の新しい選択肢として 「カプセル内視鏡」を導入しました。 飲み込むだけの簡単な検査で患者さんへの負担が少なく、 疾患の早期発見に大きく寄与することが期待されています。

検査が難しい小腸は 「暗黒の臓器」と呼ばれた

消化器の中でも体の奥深い中心部に位置し、長さ数メートルにもなる管が曲がりくねっている小腸は、臓器内の診断が難しいとされてきました。
胃カメラや大腸カメラでは届かず、検査はX線に頼らざるを得ませんでしたが、X線だけでは微細な病態の確認ができない場合もありました。

小腸はこうした点で、他の消化器に比べると検診・治療の面で遅れをとっており、「暗黒の臓器」と呼ばれることもありました。
しかし2000年以降、内視鏡が進化を遂げ、当院でも2003年に導入した「ダブルバルーン内視鏡検査」が脚光を浴びます。

この検査は、内視鏡の先端についた2つのバルーンを、手元のコントローラーで膨らませたりしぼませたりしながら、腸管の中を尺取り虫のように前進させます。
小さな病変部までくわしく観察できるうえ、その場で組織の採取が可能なため、これまで判別が難しかった病気の診断や、止血、ポリープ切除、閉塞部分の拡張などにも活躍しています。ただし、この「ダブルバルーン内視鏡検査」は、小腸全体を検査する場合に経口と経肛門の2回、各1〜2時間ベッドに横たわって検査せねばならず、入院が必要でした。

飲み込んで8時間待つだけ日常生活を送ることも可能に

そこで当院では今秋、検査の選択肢として新しく「カプセル内視鏡」を導入しました。これは直径11mm×長さ26mmのカプセル状になったカメラを口から飲み込むだけの、患者さんにとってまったく侵襲(負担)のない検査です。

体内に入ると1秒間に2〜3枚のペースで撮像しながら進み、収集された画像データはカプセル内のアンテナから、患者さんの腰に装着したデータレコーダーに記録されます。

食道、胃、十二指腸を通り、小腸に入るとぜん動運動に押されながら移動し、腸内の画像を収集します。飲み込んでから約8時間でカメラのバッテリーが切れ、患者さんの体内から排出されます。この間、患者さんはベッドや病院に滞在する必要はなく、会社やお家へ戻って普段どおりに過ごせるのも利点です。

ダブルバルーン内視鏡とのW使いで効果的な検査&治療

欧米で普及していたカプセル内視鏡が国内でも承認されたのは、高齢者を中心に小腸出血や潰瘍などが多く見られるようになってきたからです。
2012年以降は、小腸の病気が疑われる人全員を対象に検査で使えるようになり、カプセル内視鏡自体も画質や機能性が向上し、導入する病院も増えてきました。

あくまでもカプセル内視鏡は入口の検査までで、治療に関しては従来同様にダブルバルーン内視鏡も活用しながら、より効果的な治療を行っていきます。
この2つがそろっている病院は熊本県内でもまだそう多くありません。

私たちは検査から治療まで同じ病院で済むことで、患者さんの負担を減らせればと考えています。

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