数字で見る済生会

当院の主な指標(2025年度)
手術件数
手術室で行った手技件数です。
救急車等搬入数 ※1
当院に搬入された救急車・病院車・防災ヘリ・ドクターヘリ・ドクターカーの年間台数です。 1日あたり平均で約19台搬入されています。 2025年度の救急車等搬入における応需率は96%でした。
救急患者数
救命救急外来を受診した年間の患者数です。
ヘリ受入数
ドクターヘリや県の防災ヘリコプター「ひばり」の受入件数です。
外来患者数
1日あたり外来を受診した患者数です。
平均在院日数 ※2
一人の患者さんが、平均して何日入院していたかを示す指標です。 当院は急性期病院です。集中的な治療が終了した後は、連携医療機関へ転院、もしくはかかりつけ医のもとで治療を続けることになります。
紹介率 ※3
地域の医療機関などから紹介された患者さんの割合です。「日々の診療や健康管理はかかりつけ医、高度な検査・治療は当院」という医療の機能分化を進め、地域全体で連携しながら治療にあたっています。
新入院数
一年間に入院された患者さんの数です。
- 救急車等搬入数とは、救急車・病院車・防災ヘリ・ドクターカーを合計した数値
- 在院延べ患者数÷((新入院患者数+退院患者数)÷2)
- 地域医療支援病院紹介率 初診紹介患者数÷初診患者数×100(但し、初診患者数からは、救急搬送患者および休日・夜間の救急患者を除く。)
各診療科・部門の実績詳細は下記よりご覧ください。
令和7年度 済生会熊本病院 病院情報の公表
DPCデータから全国統一の定義と形式に基づいた指標を作成し、市民の皆さんに情報公開を行っています。
DPCデータとは、全国のDPC対象病院が、匿名化した患者情報を全国共通の標準形式で厚生労働省へ提出している診療データです。
傷病名や診療内容、入院日数などがわかるものです。
現在当院が公開している指標は、2025年度(2025年6月1日〜2026年5月31日)中に当院を退院した患者さんのDPCデータを基に作成しております。
DPCデータには自動車賠償責任保険や労災保険、自費、24時間以内の死亡の患者さんのデータは含まれません。
病院指標
医療の質指標
| 年齢区分 | 0〜 | 10〜 | 20〜 | 30〜 | 40〜 | 50〜 | 60〜 | 70〜 | 80〜 | 90〜 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 患者数 | 4 | 139 | 158 | 210 | 479 | 1,144 | 2,406 | 4,235 | 3,146 | 1,161 |
※転院率=転院患者数/全退院数
■外科
外科の手術の約3割は緊急手術であり、救命救急センターと密に連携して手術を実施しています。また、予定手術については消化器内科医の診断後、消化器内科・放射線科・外科で合同カンファレンスを行い、安全で適切な治療方法を実施できるよう体制を整えています。外科全体の約3割は悪性腫瘍の手術であり、当科の大きな特徴は、肝臓がん・胆道がん・膵がん等の高難易度手術を行うhigh volume center(多数例を手術する施設)であることです。日本肝胆膵外科学会高度技能医制度認定施設として、高度技能専門医1名のもと安全に肝胆膵領域の悪性腫瘍手術を行っています。さらに日本内視鏡外科学会技能認定医7名のもと、胃がん手術の80%、大腸がん手術の86%、肝臓がん手術の66%、膵臓がん手術の35%、ヘルニア手術の66%は患者さんにとって負担の少ない腹腔鏡手術で行っています。また、手術支援ロボット「ダヴィンチ」による、ロボット手術にも取り組んでおり、より低侵襲な治療を推進しています。
■消化器内科
消化器内科では、内視鏡を用いた体の負担が少ない“低侵襲治療”に力を入れています。食道癌、胃癌、大腸癌については内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、胃や大腸ポリープについてはポリペクトミー・内視鏡的粘膜切除術(EMR)などを行っています。また、胆石や癌が原因で起こる胆管炎や膵炎などの疾患に対しては、内視鏡を用いて胆管や膵管にステントという金属やプラスチックでできた筒を留置する治療(ERCP)を行っています。胆汁や膵液の流れを正常にし、炎症を改善させることで、全身状態の改善を図ります。消化管出血などの緊急疾患に対しては、全身状態を安定させつつ、24時間内視鏡治療ができる体制を整えております。
■整形外科
整形外科での手術は外傷関連が約7割を占めており、高齢者の大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折、複雑な関節内骨折、骨盤・寛骨臼骨折や血管損傷を伴った軟部組織損傷など様々な四肢外傷の治療にあたっています。また、関節外科も得意分野であり、変形性関節症に対する人工膝関節置換術や、前方アプローチによる人工股関節置換術では良好な成績を上げています。高齢化社会に伴い、脆弱性骨折症例だけでなく、慎重な全身管理が必要な患者さんも増えています。安全な医療の提供には、適切な手術手技だけでなく周到な周術期管理が不可欠であることから、整形外科では包括診療医(病院総合医)を導入しています。包括診療医は身体的・精神的・全人的な医療を包括し、多職種協働による「患者さん中心のチーム医療」を目指しています。チーム医療を実践し、合併症の発生を低減させるべく包括的に管理するとともに、多発外傷や重度外傷患者に対しては救急科とも協力して治療にあたり、良好な結果が提供できるよう努めています。
■呼吸器内科、呼吸器外科
呼吸器内科と呼吸器外科の専門医が一体となってすべての呼吸器疾患(肺がん、肺炎、間質性肺疾患、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気胸および胸膜疾患、急性呼吸不全や急性呼吸促迫症候群など)に対応しています。 患者数が最も多い疾患は肺がんです。肺がん治療は、内科、外科、放射線科の医師が、外来から入院まで密に連携をとり、患者さんお一人お一人の個別状況に応じた最も適切な治療を提案しています。肺がんの進行度・病期に基づいて、初診日から1ヵ月以内に治療(手術、放射線、化学療法)が開始できるように、マルチスライスCTやPET/CTなどの検査を計画し、早期手術適応の判断や進行肺がん症例への化学療法治療薬の選択といった治療方針について、カンファレンスを通じて総合的に行っています。 肺がん手術では、99%以上が胸腔鏡による低侵襲な手術を実施しており、高度進行がんで他医療機関で手術ができない患者さんにも、術前集学的治療後に心臓血管外科との拡大手術の実施や、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤による個別がん薬物療法を積極的に行っています。2018年10月からは、最新鋭の手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いた低侵襲かつ精密・正確な手術治療も導入しています。
高齢者に多い疾患として、誤嚥性肺炎があります。誤嚥する(食べ物や唾液などが気管に入ってしまう)ことで、食べ物や唾液に含まれた細菌が気管から肺に入り込み、肺炎を引き起こしてしまいます。当院では、言語聴覚療法士による評価と嚥下機能訓練も併せて行っています。 次に多い疾患は、間質性肺炎(肺胞の壁や周辺に炎症を起こす状態)です。炎症によって壁が厚くなり、肺全体が固くなることで肺の膨らみが悪くなり、呼吸がしにくくなります。じん肺や過敏性肺炎、感染症による急性のもの、膠原病に伴うものなど原因は様々です。当院は間質性肺疾患の診療患者数が九州地区においてトップクラスであり、画像診断や血液検査等で総合的に診断するだけでなく、気管支肺胞洗浄検査や胸腔鏡下肺生検を実施し、さらには全国的な臨床試験に参加することで得られた最新情報を基に、薬物療法や在宅酸素療法、リハビリテーションを実施しています。 我々は、よりよい治療を目指すための臨床研究や新薬開発のための臨床治験に積極的に取り組み、肺がん・びまん性肺疾患・肺間質異常(ILA)・急性呼吸窮迫症候群などの幅広い分野において、世界的な多施設共同研究や臨床試験などに参加し、エビデンスの創出にも関わっています。(2026年9月1日現在)
■腫瘍内科
腫瘍内科(総合腫瘍科)では、手術、がん薬物療法、放射線治療、緩和ケア、精神腫瘍における専門医師が在籍しており、様々ながん種や治療に対応しています。また、患者さんの病態や事情に合わせた集学的な治療を行うために、複数の専門医師に加えて、がん診療を専門とした看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、社会福祉士などの複数診療科・多職種によるチーム医療を行っています。 上記実績は、入院による診療実績となるため手術実績が多くを占めていますが、がん薬物療法や放射線治療については外来による診療を中心に実施しています。2025年度の当科の外来延べ患者数は18,485人となりました。外来の内訳として、最も多かったのは薬物療法外来6,594人、次に放射線治療外来5,665人でした。 その他にも、かかりつけの医療機関からの紹介に対応したがんゲノム外来や遺伝カウンセリング外来、がん腫や状態を問わず地域医療機関からの依頼に迅速に対応できる総合腫瘍外来などの外来も整備しています。
■糖尿病内科
| DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数(自院) |
平均 在院日数(全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 100040XXXXX00X | 糖尿病性ケトアシドーシス,非ケトン昏睡 | 16 | 13.19 | 12.83 | 25.00% | 54.06 | – |
| 10007XXXXXX1XX | 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く)インスリンあり | – | – | 13.56 | – | – | – |
| 10008XXXXXX1XX | その他の糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く)インスリンあり | – | – | 17.83 | – | – | – |
| 100210XXXXXXXX | 低血糖症 | – | – | 6.11 | – | – | – |
| 100040XXXXX10X | 糖尿病性ケトアシドーシス,非ケトン昏睡インスリンあり | – | – | 18.31 | – | – | – |
糖尿病の治療は外来通院を主としており、糖尿病療養指導士である看護師や管理栄養士とともに、患者さんのライフスタイルに合わせた生活習慣の見直しや、血糖コントロールの改善を目標として診療を行っています。また、他科に入院中で血糖コントロールが必要な患者さんには定期回診を行い、必要に応じて血糖管理のサポートを行っています。 また、高血糖や低血糖、糖尿病ケトアシドーシスなどの急性代謝障害や、手術前の血糖コントロール等、患者さんの状態に合わせて、入院加療を行います。
■泌尿器科、腎臓内科
泌尿器科
前立腺がんについては、がんが前立腺内にとどまっている場合、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いた腹腔鏡手術を行います。拡大された3D映像を見ながら、人の手よりも精密に動く器具を用いることにより、がんの確実な摘出だけでなく、痛みの低減、術後尿失禁率の低減、入院日数の短縮などの治療成績が得られています。また、前立腺がんだけでなく、2016年より腎がんに対する腎部分切除術、2020年より腎盂尿管移行部(尿が腎臓から尿管に流れ出す部分)の狭窄に対する腎盂形成術、2021年より膀胱がんに対する膀胱摘除術、2022年より根治的腎摘除術においても「ダヴィンチ」を用いた治療を開始しました。 膀胱がんに対する経尿道的手術は、尿道から膀胱に内視鏡を挿入し、その先端に付いている電気メスで膀胱内の腫瘍を切除します。患者さんの状態に応じて、手術の直後に再発予防のために抗がん剤を膀胱内に注入(化学療法)する場合があります。手術日に入院し、合併症がなければ2日又は3日間で退院できます。
腎臓内科
腎疾患・透析医療 当院では、保存期から腎代替療法導入期、維持透析期まで、あらゆるステージの慢性腎臓病(CKD)に対応しています。また、急性腎障害、慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群をはじめとするさまざまな腎疾患の診療を行っています。 慢性腎不全が進行し、腎機能が著しく低下した場合には、腎臓の働きを補う「腎代替療法」が必要となります。腎代替療法には、「腎移植」「腹膜透析」「血液透析」の3つの選択肢があります。このうち透析療法は、低下した腎臓の機能を補い、体内の老廃物や余分な水分を除去する治療法で、「腹膜透析」と「血液透析」の2種類に大別されます。 当院では、それぞれの治療法の特徴やメリット・デメリットを丁寧にご説明し、患者さんの病状やライフスタイルに応じた治療選択を支援しています。特に、適応のある患者さんには腹膜透析を積極的にご提案しています。
腹膜透析について 腹膜透析は、腹腔内に留置したカテーテル(チューブ)を通して透析液を注入し、腹膜の毛細血管を介して余分な水分や老廃物を透析液中へ移動させた後に排液する治療法です。 腹膜透析の大きなメリットの一つは、通院回数を減らせることです。血液透析では一般的に週3回程度の通院が必要ですが、腹膜透析は自宅で行うことができるため、通院は月1〜2回程度で済みます。また、透析液の交換は自宅以外でも可能であり、仕事や通学、出張、旅行など、ライフスタイルに合わせて治療を継続しやすいという特徴があります。 さらに、血液透析のように毎回太い透析針を穿刺する必要がないため、穿刺に伴う痛みがありません。 また、腹膜透析の大きな利点として、残存腎機能を維持しやすいことが挙げられます。わずかでも残された腎機能を活かすことで、水分や老廃物の調節機能を補うことができ、生活の質(QOL)の維持や良好な長期予後につながることが期待されます。
患者さんに合った治療選択のために 当院は、「腹膜透析を増やすこと」そのものを目的としているわけではありません。私たちが大切にしているのは、腹膜透析が適しているにもかかわらず十分に検討されていない患者さんに、その選択肢を正しく知っていただくことです。 腎代替療法として選択できる腎移植、腹膜透析、血液透析には、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。患者さんの病状や生活環境、価値観によって適した治療法は異なるため、一人ひとりに合った治療選択が重要です。 当院では、それぞれの治療法について十分にご理解いただいたうえで、患者さんご自身が納得して治療法を選択できるよう支援しています。現在、当院で腎代替療法を導入される患者さんの約20%が腹膜透析を選択されていますが、血液透析や腎移植が適している患者さんも多くいらっしゃいます。患者さん一人ひとりのライフスタイルや希望に寄り添いながら、最適な治療をご提案することを目指しています。
■心臓血管外科
心臓血管外科では、積極的に低侵襲治療を提供しています。低侵襲治療は、傷を小さくし、痛みが少なく、術後の回復が早い治療です。 まず、大動脈瘤では、緊急手術以外でステントグラフトという血管内治療を行うことが増えてきました。この方法では、80歳を超える高齢の方でも身体への負担が少なく術後の早期回復が期待できます。 また、弁膜症では小切開手術による大動脈弁、僧帽弁、三尖弁手術を行っています。特に僧帽弁手術は人工弁を使用せず自分の弁を温存し修復する弁形成術を行っており、同時に三尖弁形成、左心耳切除、心房細動の治療も行うことが可能です。現在、僧帽弁・大動脈弁治療は全体の9割以上を小切開による低侵襲治療にて行っております。また、その多くを手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使用して行っており、2026年7月末時点で累計264症例を実施しました。大動脈弁治療は、通常の人工弁置換術に加えスーチャーレス弁という新しい植え込み型の人工弁を使用することにより、より短時間で手術を施行することが可能となっています。正中切開にはなりますが、大動脈弁自己弁温存基部置換もほとんどの適応患者さんで施行しております。緊急手術が必要な患者さんに対しては、24時間、365日断ることなく対応しています。
■循環器内科
循環器内科では、カテーテルという細い管を用いた低侵襲な血管内治療・不整脈治療・弁膜症治療を積極的に行っています。カテーテル治療は、主として局所麻酔で行う患者さんの身体的負担が少ない治療法です。 その中で最も多い治療は、頻脈性不整脈に対するカテーテルを用いたアブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)です。アブレーション治療とは、過剰な伝導路(心筋を動かす電気の通り道)や不整脈の起源を焼灼する治療です。2024年からは最新のパルスフィールドアブレーション(電気穿孔法)を開始しました。従来の熱によるアブレーション治療よりも治療時間が短く、合併症が少なくなるなどの従来治療にはない大きなメリットがある治療です。 次に多い治療が、心不全に対する入院治療で有り、高齢化に伴って入院患者数が増加しています。ガイドラインに則った薬物治療とともに心臓リハビリテーションや基礎心疾患への介入など、総合的な診療を行っています。また、医師だけでなく多職種による包括的な心不全診療チームによる再入院予防や退院後の生活の質を高める取り組みを行っています。
その次に多い治療が虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)に対するPCI(経皮的冠動脈インターベンション)です。特に生死に関わる急性心筋梗塞に対するカテーテル治療には注力しています。24時間365日施行可能な緊急治療体制が確立しており、なおかつ重症患者への術後集学的管理・治療が出来る集中治療室の体制も整っています。PCIとは、血管内にカテーテルを挿入し、血管の狭窄部をバルーンで拡張したり、ステントを留置する手術を指します。予定入院であれば、日帰り、1泊2日や2泊3日で退院することが可能です。また、当科では2012年に保険適応となったエキシマレーザーを用いたPCIを行っています。エキシマレーザーとは、カテーテルの先端からレーザーを照射し、狭窄や閉塞の原因となっている血栓を主に溶かし、血流の改善を行う治療デバイスです。従来の手術では治療困難な病変を安全に治療することができます。このように、あらゆる機器を用いて患者様の症状・予後を改善すべく、低侵襲治療を行っています。また、下肢血管の動脈硬化性病変に対するカテーテル治療も年間100例以上実施しており、全身の動脈硬化性疾患に対応できるカテーテルインターベンション専門医数も熊本県下最多の心臓血管センターです。
■脳神経内科
脳神経内科では、虚血性脳血管障害(脳梗塞、一過性脳虚血発作)とてんかんが全体の約85%を占めています。 脳梗塞とは、脳に酸素と栄養を運ぶ動脈が詰まり、脳への血液供給が途絶えてしまうことによって、意識障害や運動麻痺などが起こる病気です。治療としては、t-PA治療(血栓を強力に溶かす薬を静脈から点滴投与するもの)や脳血管内治療(カテーテルを通して詰まっている血栓を除去するなど)、その他薬物療法があります。てんかんは、脳の異常な興奮により、意識障害やけいれん発作などが起こる病気で、抗けいれん薬を用いて薬物療法を行います。
当科では、チーム医療体制のもとグループ回診を毎週実施し、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士による早期リハビリテーションを通じて、早期退院やリハビリテーション病院への早期転院を図っています。これにより、社会復帰にかかる期間の短縮や、予後改善を促進することができます。
■脳神経外科
| DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数(自院) |
平均 在院日数(全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 010010XX9906XX | 脳腫瘍 放射線治療(ガンマナイフ) | 106 | 2.33 | 4.11 | 4.72% | 68.25 | – |
| 010040X099000X | 外傷性硬膜下血腫等 穿孔洗浄術等 | 85 | 11.74 | 18.40 | 75.29% | 70.79 | – |
| 160100XX97X00X | 高血圧性脳出血の保存的治療 | 70 | 9.74 | 9.62 | 54.29% | 81.73 | – |
| 160100XX99X00X | 外傷性硬膜下血腫等の保存的治療 | 57 | 9.00 | 7.84 | 47.37% | 78.65 | – |
| 010030XX02X0XX | 未破裂脳動脈瘤 脳血管内手術あり | 56 | 6.79 | 8.56 | 3.57% | 65.36 | – |
脳神経外科は常時脳の手術をしているイメージですが、脳内に出血したり、腫瘤(脳腫瘍など)を形成したりして手術になる可能性のある状態の初期治療を、内科的治療を含め一手に引き受けています。よって脳出血や外傷性脳出血などの保存的加療が多くなりますが、その多くは適切な内科的治療を施さなければ出血が増大し、たとえ手術を行ったとしても重度の障害が残り、社会復帰が困難となる可能性があります。したがって、超急性期における加療は極めて大事なものです。
脳神経外科手術は低侵襲化が進み、以前は全て開頭による手術でしたが、現在は転移性脳腫瘍のほとんどを放射線(ガンマ線)によって治療しており、脳動脈瘤の手術の6割以上は血管内のカテーテル治療となります。特に症状のない脳疾患(無症候性脳疾患)の治療に力を入れ、地域の施設との医療連携の結果、くも膜下出血の原因となる未破裂脳動脈瘤、小さい良性脳腫瘍(髄膜腫)、頸動脈の詰まりの治療(頸動脈狭窄症)の治療件数は県内随一となっています。
■救急科、内科
| DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数(自院) |
平均 在院日数(全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 080010XXXX0XXX | 膿皮症の治療 | 35 | 14.94 | 13.00 | 22.86% | 76.11 | – |
| 180010X0XXX0XX | 敗血症の治療(人工呼吸、中心静脈注射、人工腎臓なし) | 30 | 17.23 | 19.80 | 36.67% | 81.23 | – |
| 161060XX99X0XX | 詳細不明の損傷等 手術なし 処置2なし | 20 | 2.50 | 2.60 | 5.00% |
44.50 |
– |
| 100393XX99XXXX | 電解質異常等の治療 | 19 | 12.16 | 9.42 | 52.63% | 71.95 | – |
| 110310XX99XXXX | 尿路感染、腎孟腎炎等の治療 | 19 | 12.26 | 13.42 | 31.58% | 80.53 | – |
複数の臓器障害を抱える重症患者さんや、専門診療科に振り分けることのできない患者さんへ対応すべく、救急科と総合診療科を統合し、さまざまな救急疾患に対応できる診療体制を整えています。当科では、救急搬送後に入院となる比較的重症度の高い患者さんが多く、年間542人(2025年度)が入院されています。当科で多い分類は外傷や感染症であり、DPCコード別に見ると薬物中毒、膿皮症、敗血症、電解質異常、アナフィラキシーが上位となります。一疾患あたりの患者さんは多くありませんが、きわめて幅広い疾患をカバーするのが当科の特長です。DPCコードは、部位や処置、合併症で細分化されるため、様々な疾患を抱える当科では、統一されたDPCコードが出にくい傾向となっております。
| 初発 | 再発 | 病期分類基準(※) | 版数 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||||
| 胃癌 | 96 | 18 | 11 | 30 | 29 | 19 | 1:UICC TNM分類 | 第8版 |
| 大腸癌 | 80 | 61 | 88 | 65 | 34 | 14 | 1:UICC TNM分類 | 第8版 |
| 乳癌 | – | – | – | – | – | – | 1:UICC TNM分類 | 第8版 |
| 肺癌 | 149 | 33 | 53 | 98 | 16 | 69 | 1:UICC TNM分類 | 第8版 |
| 肝癌 | 12 | 22 | 15 | 12 | 11 | 42 | 1:UICC TNM分類 | 第8版 |
1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
定義
5大がんと呼ばれる胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、肝がんであった症例を初発の UICC 病期分類別、および再発に分けて集計しています。また、集計対象期間中に複数回入院された患者さんはそれぞれ集計をしています。UICC 病期分類とは、UICC 病期分類国際対がん連合によって定められた、①がん(原発巣)の大きさと進行具合(進展度)、②所属リンパ節への転移状況、③遠隔転移の有無の3つのカテゴリによって、各がんをⅠ期(早期)からⅣ期(末期)の4病期(ステージ)に分類するものです。
特徴
「初発」とは当院において腫瘍の診断、あるいは初回治療を実施した場合を指します。「再発」とは、当院・他施設を問わずに初回治療が完了した後、当院にて患者を診療した場合や、がん寛解後に局所再発・再燃または新たな遠隔転移をきたした場合を指します。なお、Stageの判断は退院時点のものです。集計区分が”不明”の患者数には、退院時時点で癌のステージ分類が未確定のものが含まれます。
| 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | |
|---|---|---|---|
| 軽症 | 15 | 7.27 | 47.87 |
| 中等症 | 87 | 11.13 | 70.32 |
| 重症 | 40 | 15.65 | 81.18 |
| 超重症 | 16 | 8.81 | 83.06 |
| 不明 | – | – | – |
定義
DPCデータの入院契機病名および最も医療資源を投入した傷病名のICD10コードがJ13~J18の肺炎(肺炎レンサ球菌による肺炎、インフルエンザ球菌による肺炎、その他肺炎)で始まるもののうち、市中肺炎であるものを集計しています。
【ICD10コードとは】
International Classification of Diseases and Related Health Problems(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)の略称で、世界保健機関(WHO)が世界保健機関憲章に基づき作成した、傷病に関する分類です。世界の異なる国における傷病の状況を比較できることを目的とした標準的分類で、現在は1990年のWHO総会で改定された、第10回修正版(ICD-10)が採択されています。
特徴
市中肺炎とは、 普段の社会生活の中でかかる肺炎のことであり、成人市中肺炎診療ガイドライン (日本呼吸器学会)による重症度分類を用いて集計しています。この指標では細菌による肺炎を集計しており、インフルエンザウイルスなどのウイルスによる肺炎や食べ物の誤嚥による肺炎、 気管支炎などは集計対象外です。患者数は中等症が最も多く、また、軽症の患者さんの平均年齢が40歳代であるのに比べ、中等症~超重症になるほど高齢の患者さんが多くなっています。治療は、急性呼吸不全の管理、薬剤投与が中心です。最新の機器(人工呼吸器、NPPV、ネーザル・ハイフロー等)を積極的に活用し、様々な病態に応じた呼吸管理を行っています。
| 発症日から | 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
|---|---|---|---|---|
| 3日以内 | 570 | 13.18 | 77.64 | 62.81% |
| その他 | 42 | 11.38 | 72.12 | 47.62% |
※転院率=転院患者数/全退院数
定義
入院中に医療資源を最も投入した傷病名のICD10コードの上3桁で集計しています。
【ICD10コードとは】
International Classification of Diseases and Related Health Problems(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)の略称で、世界保健機関(WHO)が世界保健機関憲章に基づき作成した、傷病に関する分類です。世界の異なる国における傷病の状況を比較できることを目的とした標準的分類で、現在は1990年のWHO総会で改定された、第10回修正版(ICD-10)が採択されています。
特徴
発症3日目以内の急性期脳梗塞の患者さんが全体の約93%を占めています。当院ではそういった緊急性のある疾患に迅速に対応できるよう、24時間365日患者さんを受け入れ、常時CT・MRI・超音波検査などができる万全の体制を敷いています。また、発症後4.5時間以内の超急性期脳梗塞には、t-PAという血栓を強力に溶かす薬を点滴投与する治療を優先して実施し、適応する症例には脳血管内治療(局所血栓溶解療法や血栓回収療法)を行います。脳血管内治療専門医を中心とし、さらにこの脳血管内治療を推進していきます。
※転院率=転院患者数/全退院数
■外科
2025年度の外科での手術件数は948件で、そのうち悪性腫瘍の手術が27%を占めています。当科の大きな特徴は、肝臓がん・胆道がん・膵がん等の高難易度手術を行うhigh volume center(多数例を手術する施設)であることです。日本肝胆膵外科学会高度技能医制度認定施設として、高度技能専門医1名のもとで安全に肝胆膵領域の悪性腫瘍手術を行っています。2025年度には同領域の悪性腫瘍手術を90件施行しました。同年度の胃がん手術は24件、大腸がん手術は130件施行しました。さらに、胃がん手術の80%、大腸がん手術の86%、肝臓がん手術の66%、膵臓がん手術の35%、ヘルニア手術の66%は患者さんにとって負担の少ない腹腔鏡手術で行っています。また、手術支援ロボット「ダヴィンチ」による、ロボット手術にも取り組んでおり、より低侵襲な治療を推進しています。
■消化器内科
●胆管炎・膵炎等に対する内視鏡的ステント留置術(ERCP)
胆石や癌が原因で起こる胆管炎や膵炎などに対して、内視鏡を用いて胆管や膵管にステントという金属やプラスチックでできた筒を留置する治療(ERCP)を行っています。胆汁や膵液の流れを正常にし、炎症の改善させることで、全身状態の改善を図ります。
●胃・大腸ポリープに対するポリペクトミー・内視鏡的粘膜切除術(EMR)
胃・大腸などにできたポリープを、内視鏡を使って切除する治療です。お腹を切らずに行うため、体への負担が少なく、外来または1泊2日の入院で行います。当院では、入院・外来合わせて年間約600件実施しています。
●食道癌・胃癌・大腸癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
食道・胃・大腸などの早期癌を、内視鏡を使って臓器を温存して切除する治療法です。お腹を切らずに済み、体への負担が少なく、根治を目指せます。治療後には病理検査を確認し、追加治療が必要な場合には外科・総合腫瘍科に紹介を行っています。
■整形外科
2025年度の整形外科での手術件数は1,375件であり、外傷関連の手術が約7割を占めています。内訳は大腿骨近位部骨折骨接合術230件、人工骨頭置換術165件、前腕骨骨接合術118件、下腿骨骨接合術61件、上腕骨骨接合術54件、鎖骨骨接合術31件などが上位を占め、外傷以外の人工膝/股関節置換術は205件に上り、いずれも増加傾向にありました。特に人工股関節置換術・人工膝関節置換術では、前方アプローチ(DAA)による人工股関節置換術において、技術の習熟により、正確なインプラント設置と低侵襲手術を両立し、早期の社会復帰を実現しています。また、人工膝関節置換術においても良好な成績を上げており、さらなる精度向上を目指してロボット支援手術の導入を予定しています。多くの患者さんを安全に治療していく上で、手術技術の向上を図ることは勿論、合併症予防のためにできるだけ早期の手術・離床を図ること、多職種で情報共有を行いながらチーム医療を実践することは不可欠です。クリニカルパスを有効に活用し、合目的的な医療が提供できるよう今後も努めていきます。また、低侵襲な経皮的プレート固定、血管損傷を伴った四肢外傷に対する組織再建、複雑な関節内骨折、骨盤・寛骨臼骨折など難易度の高い骨折についても綿密な治療計画に基づいて治療を行い、良好な成績を得ています。
■呼吸器内科、呼吸器外科
肺がん治療は、呼吸器内科、呼吸器外科、放射線科の医師が、外来から入院まで密に連携をとり、患者さんお一人お一人の個別状況に応じた最も適切な治療を提案しています。肺がんの進行度・病期に基づいて、初診日から1ヶ月以内に治療(手術、放射線、化学療法)が開始できるように、マルチスライスCTやPET/CT(2022年更新)、気管支鏡検査などの検査を計画し、早期手術適応の判断や進行肺がん症例への化学療法治療薬の選択といった治療方針について、カンファレンスを通じて総合的に行っています。
Ⅰ期肺がんの手術においては、最も低侵襲な方法とされる「完全胸腔鏡下肺切除術」を実施しています。当院の胸腔鏡は、ハイビジョン3Dシステムを使用しています。2018年10月からは、アメリカで開発された最新鋭の手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いた低侵襲かつ精密・正確な手術治療も導入しています。導入以降、肺に対しては448件、縦隔腫瘍対しては103件の実績を積み重ねており(2026年7月末現在)、2025年度は肺がん手術の44%、悪性縦隔腫瘍手術の83%を「ダヴィンチ」で行いました。「ダヴィンチ」を含んだ胸腔鏡による手術は、肺がん患者さんの98%以上に対して実施しており、49%が70歳以上、9%が80歳以上であり、多くの高齢の患者さんも手術を受けられています。また、ほとんどの患者さんが手術後7日目までに自宅退院されています。その他、肺がん以外では、救急疾患のひとつである気胸(肺の一部が破れ、漏れた空気で肺が圧迫される病気)に対する胸腔鏡手術や膿胸(細菌などの感染によって肺を囲む胸腔内に膿がたまる病気)に対する胸腔鏡手術を行っています。
■腫瘍内科
- 胃がんの腹腔鏡(ダヴィンチ)手術
従来の腹腔鏡手術比べ関節機能を持った鉗子が特徴的で、カメラもコンピューター制御で画面のぶれがほとんどなく、拡大視効果で精緻な手術を行うことが可能です。 術前の検査でロボット手術が最も適している場合に選択をしています。
胃がんに対するロボット手術症例数は全国、九州でもトップクラスの実績があり、2026年7月現在、累計299症例を越える手術を実施しています。
- 直腸がんの腹腔鏡(ダヴィンチ)手術
ロボット支援下直腸がん手術は、ロボットの関節機能が最大限に発揮される狭い骨盤腔内での手術であり、確実な神経温存により性機能障害や排尿障害の予防に寄与します。 また、肛門管内の剥離も良好な視野で行うことができるため、可能な限り肛門を温存することで患者さんのQOL(生活の質)向上に役立つことが期待されます。
- 結腸がんの腹腔鏡(ダヴィンチ)手術
2022年の診療報酬改定に伴い結腸がんに対するロボット手術が保険収載されたことを受け、ロボット支援下結腸切除術を開始しました。 ロボットのメリットである3Dで安定した視野と手振れのない操作および関節機能を活かして、出血量の少ない精緻で安全な手術が可能となります。
その他ロボット支援手術以外にも、悪性腫瘍の患者に対して抗悪性腫瘍剤の局所持続注入を目的として植込型カテーテルを設置する術式や、体表に作成した人工肛門(結腸)を吻合しなおし腹腔内に戻す人工肛門閉鎖術、開腹手術より高い技術が必要となる腹腔鏡下での結腸悪性腫瘍切除術など多岐にわたる手術を実施しています。
■泌尿器科、腎臓内科
泌尿器科
- 前立腺がんの腹腔鏡(ダヴィンチ)手術
手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いた腹腔鏡手術です。拡大された3D画像を見ながら、人の手よりも精密に動く器具を用いることにより、がんの確実な摘出だけでなく、痛み・出血量の低減、術後尿失禁率の低減、入院日数の短縮、などの治療成績が得られています。当院では、2026年7月までに2,413例実施しております。
- 膀胱がんの経尿道的手術、腹腔鏡手術
尿道から膀胱に内視鏡を挿入し、先端の電気メスで腫瘍を切除します。手術中膀胱内に洗浄液を注入しますが、電解質溶液(生理食塩水)を用いるため、合併症が少なくなります。 また、病状によっては膀胱を全て摘出する手術を行う場合があります。当院では2021年より「ダヴィンチ」を用いた腹腔鏡手術を開始しました。術中の出血量や切除断端陽性率の減少、術後合併症の発生数の軽減や在院日数の短縮が可能となります。
- 腎がん/腎盂尿管がんの腹腔鏡手術
腎がんでは、その大きさにより腹腔鏡下に腎臓全体を摘出する場合(全摘出)とがんのみを切除する場合(部分切除)があります。2016年6月から、部分切除にダヴィンチを用いており、2026年7月までに546例実施しております。また、2022年より根治的腎摘除術(全摘出)においても「ダヴィンチ」を用いた治療を開始しました。腎盂尿管がんでは、腹腔鏡下に腎臓、腎盂、尿管全体を摘出しますが、2024年から「ダヴィンチ」を用いています。また、当科では患者さんのQOL維持のため、手術当日の入院を推進しております。手術の前日まで、普段の生活を送ることができます。
腎臓内科
- 人工透析の導入
人工透析は、慢性腎不全の患者さんに対して、腎臓の機能を補い体内の老廃物や余分な水分を除去する治療法です。主な方法として、「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があります。 血液透析では、体内に蓄積した老廃物や余分な水分を除去するため、1分間に約200mLの血液を体外へ取り出し、人工腎臓(ダイアライザー)で浄化した後に体内へ戻します。そのためには、十分な血液量を確保するための「バスキュラーアクセス」を作製する手術が必要です。最も一般的な方法は「内シャント造設術」で、動脈と静脈を吻合してシャントを作製します。動脈の血液が静脈へ流入することで静脈の血流量が増加し、透析に必要な血流量を確保することができます。血管の状態が良好な場合は患者さんご自身の血管を使用しますが、十分な血管が確保できない場合には、グラフトと呼ばれる人工血管を用いて動脈と静脈をつなぎます。しかし、シャントには血栓が形成されやすく、血管の狭窄や閉塞を生じることがあります。バスキュラーアクセスは血液透析患者さんの「命綱」であるため、当院では2015年6月に透析シャント専門外来を開設し、年間570件以上の手術を行うなど、質の高い診療を提供しています。
腹膜透析は、腹腔内に留置したカテーテル(チューブ)を通して透析液を注入し、腹膜の毛細血管を介して余分な水分や老廃物を透析液中へ移動させ、排液する治療法です。腹膜透析を導入する際には、全身麻酔下で腹腔内にカテーテルを留置する手術を行います。おへその横を縦方向に約4〜6cm切開し、カテーテルを挿入します。腹膜透析は残存腎機能を維持しやすいなど多くの利点があるため、当院では患者さんの病状や生活スタイルに応じて、積極的に腹膜透析を提案しています。
■心臓血管外科
心臓血管外科では、積極的に低侵襲治療を提供しています。低侵襲治療は、傷を小さくし、痛みが少なく、術後の回復が早い治療です。
まず、大動脈瘤では、緊急手術以外でステントグラフトという血管内治療を行うことが増えてきました。この方法では、80歳を超える高齢の方でも身体への負担が少なく術後の早期回復が期待できます。
また、弁膜症では小切開手術による大動脈弁、僧帽弁、三尖弁手術を行っています。特に僧帽弁手術は人工弁を使用せず自分の弁を温存し修復する弁形成術を行っており、同時に三尖弁形成、左心耳切除、心房細動の治療も行うことが可能です。現在、僧帽弁・大動脈弁治療は全体の9割以上を小切開による低侵襲治療にて行っております。また、その多くを手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使用して行っており、2026年7月末時点で累計264症例を実施しました。大動脈弁治療は、7割近くを小切開で行っており、通常の人工弁置換術に加えスーチャーレス弁という新しい植え込み型の人工弁を使用することにより、より短時間で手術を施行することが可能となっています。正中切開にはなりますが、大動脈弁自己弁温存基部置換もほとんどの適応患者さんで施行しております。緊急手術が必要な患者さんに対しては、24時間、365日断ることなく対応しています。
■循環器内科
循循環器内科では、カテーテルという細い管を用いた低侵襲な血管内治療・不整脈治療・弁膜症治療を積極的に行っています。カテーテル治療は、主として局所麻酔で行う患者さんの身体的負担が少ない治療法です。
その中で最も多い治療は、頻脈性不整脈に対するカテーテルを用いたアブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)です。アブレーション治療とは、過剰な伝導路(心筋を動かす電気の通り道)や不整脈の起源を焼灼する治療です。2024年からは、最新のパルスフィールドアブレーション(電気穿孔法)を開始しました。従来のアブレーション治療よりも治療時間が短く、合併症が少なくなるなどの従来治療にはない大きなメリットがあり、今後、全国への普及が期待されている治療です。
次に多い治療が、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)に対するPCI(経皮的冠動脈インターベンション)です。PCIとは、血管内にカテーテルを挿入し、動脈硬化による血管の狭窄部をバルーンで拡張したり、ステントを留置したりする治療を指します。予定入院であれば、日帰りから2泊3日で退院することが可能です。
その他にも、大動脈弁狭窄症に対して従来の心臓手術に比べて、より安全で低侵襲に弁置換が行える経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)を行っています。TAVI治療はカテーテルによる心臓弁膜症の治療であり従来の外科手術と比較すると体の負担が大きく軽減されることが分かっています。また当院のTAVI治療は全国でも有数の低侵襲治療となっており、穿刺部の選択や左室ペーシングなども含めて全国に先駆けて導入しており、条件にもよりますが現在3泊4日での入院も可能となっています。その他、僧帽弁閉鎖不全や心房中隔欠損または動脈管開存症に対するカテーテル治療なども手がけています。今後、人口の高齢化に伴い様々な循環器疾患が増加することが予想されており、益々安全で侵襲の少ない手法がのぞまれる状況ですが、当科では最先端の低侵襲な治療を積極的に取り入れています。
■脳神経内科
脳神経内科で最も多い手術は、主幹動脈(脳を養う重要な血管)の閉塞による脳梗塞に対する「経皮的脳血栓回収術」です。この手術は、カテーテルという細いビニールの管を足または手の血管から挿入して、頭の中の脳血管へ進めます。そして、血管を詰めている血栓を溶解、または回収し、閉塞した脳血管を再開通させる手術です。この手術は、原則として、発症後最大24時間以内の患者さんが対象となります。また、t-PAの投与と「経皮的脳血栓回収術」の両方を行う場合もあります。当院では、急性期脳梗塞に対する脳血管内治療に対して、脳卒中センターの脳神経内科・脳神経外科の脳血管内治療専門医がチームを組んで治療に当たっています。
■脳神経外科
| Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| K164-2 | 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 | 117 | 0.37 | 8.24 | 50.43% | 82.02 | – |
| K1781 | 脳血管内手術(1箇所) | 70 | 0.64 | 12.63 | 28.57% | 65.23 | – |
| K6092 | 動脈血栓内膜摘出術(内頸動脈) | 39 | 4.74 | 10.92 | 15.38% | 74.03 | – |
| K1771 | 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) | 36 | 0.83 | 15.03 | 33.33% | 62.42 | – |
| K1742 | 水頭症手術(シャント手術) | 27 | 4.04 | 14.81 | 85.19% | 76.44 | – |
脳神経外科で最も多い手術は、「慢性硬膜下血腫」に対する穿孔洗浄術です。慢性硬膜下血腫は頭部外傷を負って1〜2ヵ月後に、徐々に頭蓋内に血液が貯まる病気です。緊急手術を必要としますが、術後は早期に症状が改善し、脳外科の中でも予後がよい疾患です。当科を代表する治療である脳動脈瘤根治術には、脳血管内手術と脳動脈瘤クリッピング術があります。脳血管内手術は、血管の中から動脈瘤中に形状記憶のコイルを詰め、血流が瘤内へ流入しないようにする治療法です。一方、クリッピング術は、瘤の根元をチタン製のクリップで挟み込み、血液が入らないようにして瘤の破裂を未然に防ぐ開頭手術となります。脳動脈瘤が破裂しても(くも膜下出血)、まだ破裂していない状態でも(未破裂脳動脈瘤)、いずれかの治療を適切に選択しております。脳梗塞の原因となる頸動脈狭窄症に対しては、狭窄の原因である動脈硬化を手術的に取り除く動脈血栓内膜摘出術を行います。髄膜腫に代表される良性脳腫瘍に対する頭蓋内腫瘍摘出術の件数も多いです。
| DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
|---|---|---|---|---|
| 130100 | 播種性血管内凝固症候群 | 同一 | – | – |
| 異なる | 9 | 0.07% | ||
| 180010 | 敗血症 | 同一 | 56 | 0.44% |
| 異なる | 62 | 0.48% | ||
| 180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | – | – |
| 異なる | – | – | ||
| 180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | 29 | 0.23% |
| 異なる | – | – |
定義
上記の傷病名について、入院の契機となった傷病名と同一性の有無を区別して症例数を集計しています。発生率は、2025年6月~2026年5月の退院患者を分母としています。
特徴
当院は、手術や処置などを行う際には合併症を起こさないように細心の注意を払い施行しています。起こり得る合併症については、事前に患者さんに説明した上で、手術や処置の施行に同意をいただくよう努めています。
| 肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが「中」以上の手術を施行した退院患者数(分母) | 分母のうち、肺血栓塞栓症の予防対策が実施された患者数(分子) | リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率 |
|---|---|---|
| 1,587 | 1,420 | 89.48% |
| 血液培養オーダー日数(分母) | 血液培養オーダーが1日に 2件以上ある日数(分子) |
血液培養2セット実施率 |
|---|---|---|
| 3,507 | 3,248 | 92.61% |
| 広域スペクトルの抗菌薬が 処方された退院患者数(分母) |
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日 までの間に細菌培養同定検査が 実施された患者数(分子) |
広域スペクトル抗菌薬使用時の 細菌培養実施率 |
|---|---|---|
| 598 | 589 | 98.49% |
| 退院患者の在院日数の総和 もしくは入院患者延べ数(分母) |
退院患者に発生した転倒・転落件 (分子) |
転倒・転落発生率 |
|---|---|---|
| 137,466 | 240 | 1.75‰ |
| 退院患者の在院日数の総和 もしくは入院患者延べ数(分母) |
退院患者に発生したインシデント 影響度分類レベル3b以上の 転倒・転落の発生件数(分子) |
転倒転落によるインシデント影響度 分類レベル3b以上の発生率 |
|---|---|---|
| 137,466 | 11 | 0.08% |
| 全身麻酔手術で、 予防的抗菌薬投与が実施された 手術件数(分母) |
分母のうち、手術開始前 1時間以内に予防的抗菌薬が 投与開始された手術件数(分子) |
手術開始前1時間以内の 予防的抗菌薬投与率 |
|---|---|---|
| 3,013 | 2,924 | 97.05% |
| 退院患者の在院日数の総和もしくは 除外条件に該当する患者を除いた 入院患者延べ数(分母) |
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上 の褥瘡)の発生患者数(分子) |
d2(真皮までの損傷)以上の 褥瘡発生率 |
|---|---|---|
| 140,785 | 89 | 0.06% |
| 65歳以上の退院患者数 (分母) |
分母のうち、入院後48時間以内に 栄養アセスメントが実施された 患者数(分子) |
65歳以上の患者の入院早期の 栄養アセスメント実施割合 |
|---|---|---|
| 9,850 | 9,692 | 98.40% |
| 退院患者の在院日数の総和 (分母) |
分母のうち、身体的拘束日数の総和 (分子) |
身体的拘束の実施率 |
|---|---|---|
| 140,859 | 19,324 | 13.72% |
更新履歴
| 令和7年度分の病院指標を更新しました。 | |
| 令和6年度分の病院指標を更新しました。 | |
| 令和5年度分の病院指標を更新しました。 | |
| 令和4年度分の病院指標を更新しました。 | |
| 令和3年度分の病院指標を更新しました。 | |
| 令和2年度分の病院指標を更新しました。 | |
| 令和元年度分の病院指標を更新しました。 | |
| 平成30年度分の病院指標を更新しました。 | |
| 平成29年度分の病院指標を更新しました。 | |
| 平成28年度分の病院指標を更新しました。 |

定義
2025年6月~2026年5月退院患者さんの人数を10歳刻みの年齢階級別に集計しています。年齢は入院時の満年齢です。
特徴
当院の入院患者さんは、60歳以上の占める割合が全体の83.7%、80歳以上が32.9%と、比較的ご高齢の患者さんが多くを占めています。40歳代以下は7.6%です。60歳未満では頻脈性不整脈、虫垂炎、小腸大腸ポリープ、胆嚢炎、足関節の骨折などが多く、60歳~79歳では頻脈性不整脈、前立腺の悪性腫瘍、狭心症、虚血性心疾患、胆管炎・胆管結石が多くなっています。80歳以上では股関節・大腿近位の骨折、誤嚥性肺炎、心不全、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈が主な疾患です。