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済生会熊本タイムズ

地域に最先端の医療をいち早く提供する当院の取組みや様々な情報をご紹介します。

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血管内治療を進化させる 専門医たちの連携

「カテーテル・低侵襲血管内治療センター」開設

当院が推進してきた低侵襲治療(※1)をさらに発展させるため、2022年4月、これまでカテーテル治療を行ってきた8つの診療科を横断的に集約した「カテーテル・低侵襲血管内治療センター(CLIEvtC:クリーク)」を立ち上げました。

  • 1 低侵襲…侵襲(=患者さんの体への負担)をできるだけ少なくする治療のこと。

カテーテル・低侵襲血管内治療センター 特設サイト

最大の特長は、患者さんの体への負担が少ないこと。

血管内治療とは、カテーテルという細い管を血管内に挿入し、患部を治療する方法です。足の付け根や手首の動脈から直径わずか数ミリのカテーテルを挿入し、X線を使用する血管造影装置を使って体内の血管を確認しながら治療します。例えば、血管の閉塞や狭窄(※2)にはバルーン状のカテーテルを入れて拡張させたり、血管内の補強に筒の形をした網状の金属製ステントを留置します。また、事故や手術後の出血には血管を塞ぐコイルを留置して止血したり、さまざまな疾患に対応できます。血管は全身くまなく張り巡らされているため、その対応領域は脳や心臓はもちろん、指先や足先といった末端にまでわたります。

血管内治療の最大の特長は、患者さんの体に負担が少ない低侵襲治療であること。残る傷が小さい、治療時間や入院期間を短くできるなど、多くのメリットがあります。同時に、血管内治療を安全に実施するには高度な技術が必要です。

  • 2 閉塞や狭窄…閉塞は閉ざされて塞がっていること、狭窄はすぼまって狭くなっていること。

血管内治療の流れ

①皮膚の上から局所麻酔を用いて針を刺します(穿刺)。

皮膚の上から局所麻酔を用いて針を刺します。

②レントゲン(血管造影装置)を用いて、血管内にガイドワイヤーを挿入します。

レントゲン(血管造影装置)を用いて、血管内にガイドワイヤーを挿入します。

③適宜、造影剤を用いながら治療器具をカテーテルを用いて患部に届けます。

適宜、造影剤を用いながら治療器具をカテーテルを用いて患部に届けます。

④それぞれの治療部位に応じた治療器具で病変を治療します(例:ステントを広げて血栓を除去)。

それぞれの治療部位に応じた治療器具で病変を治療します(例:ステントを広げて血栓を除去)。

双方にメリットのあるセンターを目指して。

これまでは各科がそれぞれでカテーテル治療を行ってきたため、使う道具もバラバラで、情報共有も希薄でした。これが1つのセンターになったことで、他科の視点や助言が入り、より多角的で総合的な治療判断ができるようになりました。経験や情報も共有することで、医師をはじめとするスタッフの技術向上も図りやすくなりました。そしてそれは、患者さんにより質の高い医療を提供することにもつながり、患者さんと医師、双方にメリットが生まれるセンターになったと言えます。ちなみに血管内治療において複数科の医師が横断的に集まるセンターは全国でも珍しく、県内では当院だけです。

技術革新に対応できる人材の育成。

当センター喫緊の課題は人材育成です。カテーテル治療は特に日進月歩で、次々に登場する新しい技術や道具を使いこなすためには資格が必要となります。資格の取得には血管内治療の実績が必要であり、そのための環境を整えているところです。また将来的には、カテーテル治療に留まらず、もっと多様な低侵襲治療を請け負えるセンターへ発展させるのが目標です。

自身の疾患に適用できるか、気になったら医師に相談を。

私自身もどかしいのは、カテーテル治療がまだまだ一般的に知られていないと感じること。「手術せずともカテーテルで対応できたのでは」と思われる患者さんも少なからず見受けます。

もちろん手術でないと治療できない場合も多くあります。しかし、手術とカテーテル治療の両方が選択できる疾病なら、患者さんの治療時の負担や治療後の生活のためにも、カテーテル治療をおすすめします。

カテーテル治療で対応可能か否かの判断は専門医師がきちんと行いますので、自分の疾患に適用できるか気になったときは、ぜひ当院のセカンドオピニオンを受けてみてください。

池田 理

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