弁膜症



大動脈弁閉鎖不全症

大動脈弁閉鎖不全症とは

心臓の左心室から押し出された血液は、大動脈を通って末梢の動脈へ運ばれ全身の臓器をめぐっています。大動脈弁閉鎖不全症とは、大動脈弁口(血液が心臓から出て行く出口)が完全に閉鎖されないために、一度心臓の外に送り出された血液が、左心室内へ逆流する病気のことをいいます。

発症の原因

リウマチ熱や先天性の要因といった大動脈弁自体の障害によるものと、大動脈の障害により弁の開きに影響を及ぼすものの、2つに大別されます。

症状

軽度なうちはほぼ自覚症状はありませんが、進行性の疾患です。急性のもので無い限り、多くの場合で40歳以降に自覚症状が出現します。症状が進むと胸痛や動悸、さらには息切れや呼吸困難、むくみなどの心不全症状が現れ、場合によっては突然死の可能性もあります。症状が出現すれば、手術が必要です。

合併症 心不全

検査について

健康診断等の際、聴診や心電図検査で心雑音や不整脈が確認されることで疾患が見つかることがあります。
その上で、病気の程度や進行度を調べる際に行うのが心エコー検査です。これにより弁の数や大きさ、硬さの程度、逆流の程度など多くの項目を調べることができ、これらの情報を総合して、主たる原因や重症度を判断します。より詳細に弁の状態を観察したい場合は、超音波の端子を食道内に入れて心臓の裏側から超音波を当てることができる、経食道心エコーが行われることもあります。また手術治療が必要な場合は心臓カテーテル検査を行い、他の心臓疾患を合併していないか調べることもあります。

心電図
胸部X線検査
心臓カテーテル検査
心エコー

治療方法

患者さんの状態に応じて方法を選択します。

内科的治療 原因疾患や心不全の治療
外科的治療
AVR(大動脈弁人工弁置換術)
通常胸骨正中切開で行うが、胸骨部分切開や側開胸で行う場合もある
大動脈弁形成術
人工弁輪を用いて患者自身の弁やその周囲の形を整え、弁の機能を回復させる手術
メリット:自己弁を生かせるため、血栓症や感染症の合併症が少ない
ワーファリンなど抗凝固剤の内服が不要な場合もある