不整脈



不整脈とは

私たちの心臓は、休むことなく規則正しい収縮と拡張を繰り返すことで、全身に血液を送り出しています。このような働きは、心臓で作り出される電気活動によって成り立っています。この電気活動が乱れると、脈が速すぎたり、逆に脈が遅すぎたり、脈のリズムが乱れることにつながります。こうした状態のことを「不整脈」と呼びます。

心臓は一分間に60~80回、一日に十万回程度、収縮と拡張を繰り返していますが、時に不規則な心臓の収縮が起こります。また、不整脈の種類には様々あり、治療が必要なタイプかどうかの見極めが重要です。当院の循環器内科では、不整脈のタイプに応じ、チーム体制でさまざまな検査・治療・管理を行っています。

当院が主に診療する不整脈は、心房細動、心房粗動、上室性頻拍、WPW症候群、心室頻拍、心室細動(ブルガダ症候群)、房室ブロック、洞不全症候群などがあります。

発症の原因

不整脈の原因として最も多いのは、加齢や体質的なものといった、心臓病には直接関係しないものです。年をとるにつれ、誰にでも少しずつ不整脈が起こる回数が増えていきます。その他、ストレス、睡眠不足、疲労などでも不整脈は起こりやすくなります。

そして、すでに心臓の病気をお持ちの方は、二次的に異常な電気信号が生じて、不整脈が出やすくなるのも事実です。例えば弁膜症になると、心房や心室が大きくなって電気の流れがおかしくなり、脈が乱れやすくなります。

その他、高血圧の人、肺に病気がある人、甲状腺に異常がある人も不整脈が出やすいので注意が必要です。

参考:不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)

症状

普段は気付かない心臓の拍動を自覚する“動悸”や息切れ、ふらつきなどの症状を生じ、重症の場合は意識を失うこともあります。逆に、症状が全く出ない場合もあり、心電図検査で偶然発見されることもあります。

また、不整脈は、時に心不全や脳梗塞の原因となりますので、心不全や脳梗塞で救急搬送され、不整脈が見つかる、といったケースもあります。

検査について

問診や心臟超音波検査、トレッドミル検査などがあります。心電図検査を基本に、ホルター心電図なども併せて施行したり、食道誘導心電図を実施する場合もあります。

治療方法

薬物療法やカテーテルによる治療、デバイス治療などがあります。

薬物治療 患者さんの症状に応じて、抗不整脈薬剤を組み合わせ治療します。
経皮的心筋焼灼術
(カテーテルアブレーション)
不整脈の中でも、脈が正常値を超えて速く動く状態を「頻脈性不整脈」と呼びます。経皮的心筋焼灼術は、過剰な伝導路(心筋を動かす電気の通り道)や不整脈の焦点を、カテーテルを用いて焼いてしまう方法です。以下のような疾患に有効となります。
  1. 発作性又は持続性心房細動
  2. 心房粗動
  3. 心房頻拍
  4. 心室性頻拍症など、心室性不整脈
  5. WPW症候群に伴う房室回帰性頻泊
  6. 房室結節リエントリー性頻泊などの発作性上室性頻拍症

※当院では不整脈(心房細動)の治療としてカテーテルアブレーションに積極的に取り組んでいます。

治療方法はこちら

デバイス治療
  1. ペースメーカー植え込み術
    不整脈の中で、通常よりも心拍数が少ない状態を「除脈性不整脈」と呼びます。この場合、治療にはペースメーカーというデバイスを使用します。
  2. 植え込み型除細動器
    心室頻拍や心室細動を原因とする失神があり、さらに電生理学的検査で持続性心室頻拍(心拍が異常に速い状態が、30秒以上続くこと)が誘発される危険な「頻脈性不整脈」には、植え込み型除細動器と呼ばれるデバイスを植え込み治療します。
    最近では、不整脈を停止させる皮下植込み型除細動器(S-ICD)治療も行っています。
  3. 心室再同期療法
    心機能が低下して心室の収縮が同期できない状態の心不全に対しては、デバイスを用いた心室再同期療法という治療を行います。心機能を改善する効果が期待できます。デバイスとは、体内に植え込むタイプの治療機器のことです。不整脈や心不全の治療では、さまざまな植え込み型のデバイスを用います。
※デバイスの植え込みを受けた方は、数ヶ月~1年毎の定期検査(外来)が必要となります。 ※不整脈治療の専門チームが外来管理を行い、24時間体制で緊急時にも対応します。