幅広く内科疾患を経験できたことが非常に有用でした
ー先生の研修時代について教えてください。
私の研修医時代は、現在とは異なり卒業後に直接各診療科に入局し、早期から専門領域の研修を行う人がほとんどでした。私自身は今でいう2年間の初期研修の最初の1年間は熊本大学病院神経内科で神経疾患の研修を行い、2年目は半年熊本市民病院で内科全般の研修、残り半年は済生会熊本病院循環器科で研修を受けました。3年目からは研修医ではなく神経内科レジデントとして専門分野の研鑽を開始しました。今のシステムに比べれば全然及びませんが、幅広く内科疾患を経験したことは非常に有用であったのではないかと思います。
ー先生の現在の主な診療分野を教えてください。
現在私が所属する脳神経内科では、脳血管疾患(おもに脳梗塞)が主な診療対象となっています。脳梗塞分野はここ数年での発達がめざましく、機械的血栓回収療法が大幅に進歩しています。これによりこれまで救うことができなかった重症脳梗塞の患者さんたちを救うことができるようになってきました。また神経救急疾患としててんかん、髄膜炎、脳炎、ギラン・バレー症候群などの診療も行っています。多発性硬化症などの自己免疫疾患なども比較的突然に症状が出現することも多く、当科の診療対象となっています。
救急外来での対応、入院、治療方針の決定、そして退院まで一連の流れを把握することができます。
ー先生の診療科の研修プログラムの特徴を教えてください。
当科研修期間中、研修医は特定の指導医についてもらい、その先生と行動を共にしてもらっています。救急外来での対応や当直も共に行っていただいています。当科では、初期対応を行った医師が入院から退院まで責任を持って対応しますので、研修医は救急外来での対応、入院、治療方針の決定、そして退院まで一連の流れを把握することができます。また空いた時間には疾患に関連するミニレクチャーなどを行い、疾患に対する理解も深めることができます。
個々の特性を大切にしながら指導しています。
ー先生が指導の際に心がけていることを教えてください。
人にによって得手不得手があり、仕事効率にも差があります。人によって教えるスピードを変え、無理がないように注意して指導しています。1~2カ月という短い研修期間の中で、脳神経内科疾患を深く理解するのは困難です。そのため、比較的症例数の多い脳梗塞やてんかんに関しては、救急外来での初期対応、治療方針の決定、退院まで一人でも判断できるようになるように指導しています。
何よりも大切なのは“熱意”です。
ー指導医の立場から学生さんへアドバイスをお願いします。
研修医になりたての時は、皆さん当然のことながら知識や経験は不足しており、うまく患者対応できるか不安があるかと思います。ただそれは経験年数が増えるともに誰でも上手になっていくので大した問題ではありません。それよりも今皆さんに溢れている「これから頑張ろう」という熱意が大事です。熱意を持ち続ければいつまでも成長し続けますし、またその熱意は、周囲の医師にも良い影響を与え、皆さんに戻ってきます。胸に秘めているその熱意を絶やすことなく頑張ってください。
研修医2年間の経験が医師人生での大きな支えとなっています。
ー先生の研修時代について教えてください。
私は香川医科大学を卒業し、神戸市立医療センター中央市民病院で初期研修を行いました。神戸での研修は特に救急医療が盛んであり、種々雑多な症例かつ膨大な患者さんの数を診なければなりませんでした。体力には多少自身がありましたが、初期研修での当直はかなり大変だったことを思い出します。しかしながら最初の2年間で得た経験は、またその後の医療人生で大きな支えとなっており、非常に重要な期間であると考えています。
ー先生の現在の主な診療分野を教えてくださいい。
診療科は循環器内科で、特にカテーテルインターベンションを専門としています。またカテーテルインターベンションには、虚血性心疾患、末梢動脈疾患、先天性心疾患等様々な領域がありますが、その中でも特に先天性心疾患を専門に行っています。
症例が豊富で、各分野の専門医も多数在籍しているため、きめ細やかな研修が可能です。
ー先生の診療科の研修プログラムの特徴を教えてください。
循環器内科の診療の中心である心不全、虚血性心疾患、弁膜症、不整脈関連疾患はもちろんですが、その他にも肺血栓塞栓症、大動脈解離、先天性心疾患等も症例が豊富であり、多くの経験を得ることができること、またそれぞれの分野での専門医が多数在籍しており、よりきめ細かな研修を送ることができます。
すべては基本から始まります。
ー先生が指導の際に心がけていることを教えてください。
診療の基本は病歴聴取、身体所見であり、まずは基本を大事にすることを心がけて指導しています。
活気に溢れた職場で充実した2年間を送りませんか。
ー指導医の立場から学生さんへアドバイスをお願いします。
私は済生会熊本病院で10年以上働いていますが、当院は熊本県で随一の救命救急センターであり、専門領域の診療はいうまでもなく、初療から始まる救急外来も活気に溢れています。最初の2年間を充実した時間にするために一緒に働いてみませんか。
いろいろな意味での医師としての基礎・土台が出来上がる時期ではないかと思います。
ー自身の研修時代について教えてください。
今のシステムと異なり、卒業時に専門科に入局し、その科の教育システムで研修する人がほとんどでした。私の研修は、岡山大学での半年間の研修後、鳥取(一般内科研修2年)と大阪(循環器研修2年)で行いました。決して自慢できるような研修生活を送っていた訳ではありませんが、今振り返ってみると、この最初の4年間は、重要な時期であったと思います。大学時代の先輩に、卒後5年はとにかく一生懸命仕事をがんばれと言われたのを思い出します。いろいろな意味での医師としての基礎・土台が出来上がる時期ではないかと思います。
プロ意識をもつこととそれを実践することです。
ー医療人としてのポリシー・指導医としてのアドバイスをお願いします。
医療は、患者さんの為に何が最良か、日々考えながら行っていますが、医療人のポリシーとしては、プロ意識をもつこととそれを実践することです。プロ意識は何も専門性や技術のことだけでは決してありません。
研修医の先生にわかってもらいたいことは、自分は学生ではないということ・一医師であるという自覚・プロ意識を必ず持って、日々の診療にあたってもらいたいということです。
患者さんからみれば、医師が何年目であるかということは、実は自分たちが気にしているほど問題ではなく、いかに自分のことを真摯に考えてくれているか、いかに自分の訴えに対し親身に誠実に対応してくれているかが重要なのです。そのことを意識して診療にあたれば、初対面の挨拶の仕方からかわってくると思います。慣れや経験が障壁(思い込みや決めつけなど、また日常診療を業務としてこなしてしまう)となり、対応の仕方によっては、逆に患者さんから信頼を得ることができなくなることがあるのも事実です。
多くの経験を積んだ先生方の知識や技術を共有できる恵まれた環境です。
ー自身の科の研修プログラムのPRポイントはどこですか?
ほかの病院にはない当科の特徴をいくつか紹介したいと思います。まずは、心臓血管センターとして週一回、心臓血管外科とともに症例検討会を行っています。これは、患者さんの治療方針や術式等を検討する上で、非常に重要なHeart team pro meetingです。しかし、このような外科と内科が対等な立場で行っているmeetingは、実はほかの病院ではあまりありません。それぞれの科で適応を決め、他の科に紹介するという一方向のmeetingはよくあります。症例提示・プレゼンテーションの行い方や、方針を決める際のポイント等多くのことを学べます。
次に、緊急症例を含めた全国屈指の症例数・治療実績があるということです。この中で、多くの経験を積んだ先生方の知識や技術を共有できるということは、自分にとっての今後の財産になり、見識も広がります。
最後に、心臓血管センターには循環器内科だけで、20名以上の医師が勤務をしております。それぞれの専門・得意分野も異なれば、医局等育ってきた環境も当然まちまちです。その中で、多くの同僚(特に同じ世代)から得られるものは非常に大きなものとなりますし、まさしく切磋琢磨できる環境が整っていると思います。このように恵まれた環境が、心臓血管センターの特徴であり、今までの業績がそれを物語っています。 さあ、研修医のみなさん、心臓血管センターの門戸をたたいてみませんか!
辛い経験が医師として働く上での強い支えになっています。
ー自身の研修時代について教えてください。
私は、大学病院の研修医時代のある患者さんのことがきっかけで、すごく辛い思いを経験しました。しかし、それが今自分が医師として働く上での強い支えになっています。当時は上下関係も厳しく感じましたが、先輩の背中を見て、自力で覚えていかないと置いていかれるという思いで、日々精一杯な毎日だったと記憶しています。しかしいろいろな関連病院に勤務し、多くの経験を積ませていただいたことも、今となっては懐かしく、感謝しています。
患者さん立場に立って考えることが大切です。
ー医療人としてのポリシーは何ですか?
常に心がけていることは「本当に患者さんの身になって考えているか?患者さんの気持ちになって言葉を発しているか?本当に患者さんにとって良いことは何か?」を考えることです。私は患者さんと医療人は同等の立場と考えています。だから、お医者様でもなければ、患者様でもありません。患者さんは何を希望し、何をしてあげればよいのか、患者さんの立場、ご家族の立場に立って常に考えるようにしています。私は父を病気で亡くした際に、医療人としてではなく、いち患者家族として済生会熊本病院と客観的に接する機会も得ました。ですので、可能な限り患者さんの気持ちを理解するように心がけています。若い先生方の中には、説明に言葉が足りていないと感じる医師の方々も見受けられます。それは逆に経験値の少なさから、相手の立場を考える余裕がない若さの裏返しかと思います。そんなときこそ、自分が逆の立場になったらどうか?と考えることが大切だと感じます。
研修制度は最大限に自分を伸ばせるシステムです。
ー指導医としてのアドバイスをお願いします。
現在の研修制度の仕組みは、一見受身的な部分もあります。しかしこのシステムをしっかり身につけ、自分自身でできる勉強もしっかり行うことで、最大限に自分を伸ばせるシステムになっていると思います。研修医時代の積み重ねが、後々大きな差になることを肝に銘じて、ぜひ鍛錬を重ねてください。
県内で有数の消化器疾患が経験できます。
ー自身の科の研修プログラムのPRポイントはどこですか?
私どもの消化器病センタ一の自慢は、良い意味でとにかく忙しく、県内で有数の消化器疾患が経験でき、かつ先輩が皆優しい、大人の科という感じでしょうか。我々は自分たちの若かりし頃に苦労、辛さを経験することもありましたが、その分、若き先生たちにはよりしっかりとしたサポートをしていきたいと思います。標準的・メジャ一な消化器疾患をしっかり診断・治療できる状態になるまで、厳しく、やさしく、順序だてて指導するように心がけています。
胆道・膵臓疾患の分野では他に負けません。
ー得意とする症例または手技は何ですか?
私は消化器疾患の中でも、あまりメジャーではありませんが胆道・膵臓疾患の診断・治療を専門にやっています。当科は胆道・膵臓疾患の分野に関しての技術は決して他に負けないつもりですが、現在の治療グル一プメンバ一以外の新たな後進の輩出・希望者が少ないことが気がかりです。胆道・膵臓疾患の診断・治療に興味がある方はぜひ一度見学にお越しください。