健康診断を、あなたの健康チャンスに。
済生会熊本病院予防医療センターでは、年間34,000人以上の健康診断を行っています。
今回は、当院予防医療センターの医師と保健師の二人に話を聞きました。
生活習慣の改善でクオリティ・オブ・ライフが向上する。
―改めて、健康診断がなぜ必要なのか教えてください。。
満崎健康診断では、メタボリックシンドロームや生活習慣病のリスクに気づけます。これらのリスクは深刻になると死に至る場合もある一方、進行しても痛みはありません。そのため病院に行くきっかけもありません。このような自覚症状のない病気を早期発見し、早期治療するために健康診断があります。
延永メタボリックシンドロームや生活習慣病は、いずれも内臓脂肪の蓄積が原因のひとつとされています。過剰な内臓脂肪は、動脈硬化を促すホルモンを分泌します。内臓脂肪の過剰な蓄積を防ぐには、生活習慣を見直すことが必要です。特に見直すポイントは食事や運動の習慣。エネルギーの摂取と消費のバランスが崩れると、体重増加や血圧・血糖・脂質などの生活習慣病データが基準をはみ出してしまいます。健康診断の機会を、自分の体を見つめ直すきっかけにしてほしいです。
満崎理想としては、治療が必要になる前に、原因となる習慣を改善して病気を防ぐこと。健康的な生活習慣が体の老化を防ぎ、健康寿命(日常生活に制限のない元気に過ごせる期間)をのばすことにつながります。
延永近年は、日々の健康づくりを大切にしている企業や個人が増えてきたと感じます。費用と時間をかけて手厚く検査する人間ドックやがんドックの件数が増えたり、「健康経営」という言葉が出てきたりと、従業員の健康づくりに真剣に取り組んでいることが伝わります。
満崎同時に、健康意識が高い方、そうでない方の二極化が進んでいるとも感じます。普段から生活習慣の改善を意識して健康寿命をのばすことは、結果的にクオリティ・オブ・ライフの向上にもなると思います。
少しでも異常がわかったら、迷わず必ず精密検査を
満崎もしあなたが健康診断で再検査や精密検査が必要と指摘された場合、自覚症状はなくても確実に病気のリスクがあるのだという認識を持っていただきたいです。働き盛りの若い世代は「自分は大丈夫」と未受診のケースが非常に多い(事実、当センターで「異常あり」と診断されても再検査をきちんと受けるのは3分の2で止まっている状況です)。
延永受診者との関わりのなかで、病気が進行していても「自分は健康だ」と思いこんでいる方はとても多いです。以前、脂質(悪玉コレステロール値)の「要精密検査」を何年も指摘されつつも、未受診だった方が、とうとう脳梗塞を発症された事例がありました。その方は「まさか自分が脳梗塞になるなんて」と仰っていました。私たちとしては、健診結果の通知や個別の連絡で病気のリスクを繰り返し伝えてきたのに、早めの受診行動につなげられなかったことをとても残念に思いました。「要精密検査」の結果を放置するほど病気の危険度・重篤度は高くなります。精密検査が必要と指摘されたら、必ず病院を受診してほしいです。
健康診断を受けて終わりにしないための取り組み。
満崎「要精密検査」の場合、早期受診が大切です。例えば大腸がんなら、便潜血が陽性になって9ヵ月以上経つと、大腸内視鏡検査で発見される大腸がんが1.75倍に増えてしまうというデータがあります。救える病気を見過ごさないために、どんな項目でも異常が疑われたら、迷わず必ず受診してください。。
それと健康診断は毎年受診してほしいです。毎年受けることで病気を早期発見できることが明らかになっています。
延永健康診断は受けて終わりではありません。異常はなくても数値の変化をセルフチェックしてほしいです。今後も、より良いデータを維持するために、今の生活習慣(食事・運動・休養のバランスなど)に偏りがないか・改善すべき点がないか、ご自身の生活を振り返る機会にしましょう。
健康診断を受けて終わりにしないために、当センターでも受診者に働きかけています。医師の結果説明後、保健師・管理栄養士・運動指導士による健康相談を実施しています。精密検査受診の必要性や生活習慣の振り返り・見直しを一緒に行います。
健診後、精密検査が必要となった方で病院受診がお済みでない方には、後日、お手紙やお電話でのフォローも行います。検査結果にもし異常があっても、安心して精密検査を受けられるようフォロー体制を整えていますので、気負わずに、健康診断や人間ドックを受けてみてはいかがでしょうか。
満崎健康診断は隠れた病気を早く見つけることで、ご本人だけでなく、ご家族やその方の友人知人、職場の仲間、ひいては社会全体を守るためにあります。年に一度の機会を有効活用していただき、皆さまの健康づくりに役立てていただきたいです。
健康を守る生活習慣
食事編 血管を守る食事のポイント
食べ方
- 1日3食規則的にとる
- ゆっくりよくかんで食べ過ぎ予防
- 食物線維メニュー(野菜、きのこ類、海藻類など)から食べる
間食減らす
- 買い置きしない
- 食事後にすぐ歯を磨く
- 大袋を小袋に
アルコールを減らす
- 週に2日は休肝日を設ける
- 寝酒をしない
運動編 活動量を増やす、ちょっとした運動習慣
活動量を増やす
- 歩幅を大きく、早歩きを心がける
- 階段を使う、トイレは別の階へ
- 駐車場は出入口から遠くに止める
- 外食後は歩く量を増やす
- 座ってする家事などを立って行う
- 1日1回は外出する
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新型コロナウイルスの感染不安から、2020年を境に健康診断の受診数が減少しています。「毎年行くのは面倒」「要精密検査でも症状がないから大丈夫」と考えていませんか。
健康診断の役割や重要性について改めてお伝えします。