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済生会熊本タイムズ

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脳動脈瘤クリッピング術 ― くも膜下出血を未然に防ぐ 未破裂脳動脈瘤治療 ―

脳血管の病気の中でも重篤な「くも膜下出血」。脳動脈の一部が膨らんで瘤状になった「未破裂脳動脈瘤」が破裂し、頭蓋骨と脳の間にある「くも膜」の下に血液が流れだす状態のことをいい、発症すると約3分の1が死に至るといわれています。この度、済生会熊本病院では、その予防的治療法として有効な「脳動脈瘤クリッピング術」を、より安全・正確に行うための環境を整えています。

くも膜下出血を未然に防ぐ 未破裂脳動脈瘤治療

脳動脈瘤クリッピング術に新システム導入

脳血管の病気の中でも重篤な「くも膜下出血」。脳動脈の一部が膨らんで瘤状になった「未破裂脳動脈瘤」が破裂し、頭蓋骨と脳の間にある「くも膜」の下に血液が流れだす状態のことをいいます(図①)。

 

脳動脈瘤は、血液の流れがぶつかる血管の分岐部分にできることが多く、成人の1.5~6%が持つとも言われています。ほとんどの場合、未破裂の段階では自覚症状はありませんが、いったん破裂すると3分の1が治療できないほど重症化し、3分の1は死に至る恐ろしい病気です。

この病気を予防するには、脳動脈瘤が破裂する前に発見して治療するのが唯一の方法。幸い日本では脳ドックが普及しており、MRIが実施可能な医療施設も多いため、脳ドックや目まいの検査の際に見つかるケースが多くあります。発見された「未破裂脳動脈瘤」の治療を行うべきか否か、治療する場合、どんな治療方法を選ぶかは大きな問題で、専門医への相談が必要です。

当院では、「脳動脈瘤クリッピング術」という方法で積極的に「未破裂脳動脈瘤」の治療を行っており、その数は2001年以降で1300症例以上に上ります。

手術効果が長持ちし、社会復帰も早い脳動脈瘤クリッピング術

「脳動脈瘤クリッピング術」は、脳動脈瘤の根っこの部分をチタン製のクリップで挟み込み、瘤が破裂する原因となる血液が入らないようにする手術です。
歴史がある治療法で、術後の長期成績が良好なことがわかっており、複雑な形態の脳動脈瘤にも対応が可能です。

入院期間も10日ほどと短く、髪を刈ったり剃ったりする必要もないため、社会復帰が早いのも大きな特徴です。

新システムで安全性がさらに向上

当院では昨年末、未破裂脳動脈瘤治療の「脳動脈瘤クリッピング術」をより安全・正確に行うため、新しい手術用顕微鏡「OPMI PENTERO900」を導入しました。
ICG(※)血管造影機能という仕組みが備わっており、静脈に緑色の蛍光色素を流し込み、それを顕微鏡に取り付けた特殊なフィルターを通して見ることで、手術部位の血液の流れを鮮明に把握できるのが特徴です。

ほかにも、血管の裏側まで観察可能にする高画質内視鏡システム、血液の流れを音で感知できるドップラーシステム、手術中でも運動機能を評価できる運動誘発電位検査など、脳動脈瘤手術を安全・確実に行う複合的システムを構築しています。

脳動脈瘤が破裂する確率は決して高くはなく、何年も大きさに変化がない場合もあります。その一方で、突然できた脳動脈瘤が数カ月で破裂した症例もあります。
様子を見るか、治療を行うかは難しい選択ですが、いつ破裂するか分からない日常生活には精神的負担とリスクが伴います。
若い方でも発症する病態ですので、もし脳ドックや検査などで脳動脈瘤が見つかった場合は、速やかに専門医療機関に相談することをお勧めします。
※ICG :indocyanine green(インドシアニングリーン)の略称。通常は肝機能の検査に用いられる蛍光の色素。血液を鮮明に見ることができ、逆に血液がない場所は黒く見える。

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当院の脳神経外科の外来担当では、未破裂脳動脈瘤に関するご相談を承っています。

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