当研究所について
研究所(MIRAI)開設にあたり
この度、医療情報の調査分析を目的に研究所を設立することとなりました。当院では長年、クリニカルパスの研究を積極的に行い、医療の質向上に努めてまいりました。また、クリニカルパスの電子化についても、BOM※1の原型であるアウトカムマスターの開発や、バリアンス収集可視化機能を持つNECV※2の開発などに注力してきました。その最終形が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)よりご支援を頂いたePathプロジェクト で、多くの皆様のご協力で、医療機関やベンダーを越えてパスのみならずDPCや検査、薬剤などの膨大なデータを紐づけ統合的に解析できる基盤が構築されました。
Real world data を集める仕組みは出来上がりました。これからはこうしたデータをいかに解析し、それぞれの医療機関の質向上にどのように活用するか、さらに広げて社会に貢献できるかが課題です。研究所の目的はさまざまありますが、最も大きな目的はデータ解析人材を育成することにあると確信しています。COVID-19のパンデミックで図らずも、わが国のIT化が諸外国に後塵を拝し、科学技術立国と言う看板さえも危うくなっています。データ解析人材の育成は急務なのです。
幸い、ePathプロジェクトでは多くの研究者と交流を持つことができ、人脈が出来上がりました。研究所には外部の人材も参加していただき、開かれた環境のもとで楽しく厳しく議論をし、新しいものを生み出していきたいと考えております。データに興味のある方、データを利用して研究をしたいという方はいつでもwelcomeです。遠慮なく研究所の門をたたいてください。
「イノベーションは科学より先に生まれる」と私の好きな作家マット・リドレーは述べています。最初のアイデアは研究者が研究室から生み出すのではなく、常に問題意識を明確に持った現場人から生まれるのです。この研究所が現場とアカデミアをつなぎ、あらたな発火点となることを確信しています。
MIRAI 所長 副島秀久
1 日本クリニカルパス学会監修 患者状態アウトカム用語集Basic Outcome Master®(ベーシックアウトカムマスター®)
2 NECとの共同開発 新型電子クリニカルパス分析ビューワ(Novel Electronic Clinical Pathway Analysis Viewer)
MIRAIとは
「Medical Information Research & Analysis Institute」の略である。
コンセプト
- 地球から昇る太陽のイメージから未来を表現
- 地球のカーブと統計で用いる曲線を同時に表現
目的
医療・医学・福祉に関する情報を調査・分析し、その結果を各組織にフィードバックしそれぞれの理念実現を支援し価値を高める
事業内容
医療プロセス分析
- クリニカルパスをベースにバリアンス分析を行い、現場にフィードバックする
- ETLやBIツールを駆使し、データセットの自動化や可視化を行い、継続的に分析を行う
学会活動支援
- 発表内容を把握し、必要なデータソースを提示する
- 発表内容に応じ、データ収集、解析支援する
医療情報マスター作成・維持管理
- BOMを作成・維持管理する
- 院内で使用する標準マスター(薬剤・検査マスター)を作成・維持管理する
各種学術調査・研究参加
- 各種学会の学術的な調査や依頼、研究参加に対応し支援する
- 済生会本部の依頼に対応し支援する
外部資金の導入・研究受け入れ
- AMED、経済産業省、厚生労働省など国からの補助金を受け入れ、研究する。
- 企業、財団などからの助成金を獲得し、研究する
経営資料分析とコンサルタント
- クリニカルパス作成、運用を支援する
- BOM導入、活用を支援する
匿名加工情報の作成及び第三者提供について
臨床研究を目的として、匿名加工した診療情報を第三者に提供していることを公表いたします。