CCUから発展したICU
当院は以前より循環器科重症疾患患者の占める割合が多く、当院の集中治療室は、いわゆるCCUとしてスタートしました。そのため循環器内科・心臓血管外科が中心となって活動している、全国でも珍しい集中治療室です。そのため心血管疾患の重症管理に強く、また心臓血管センターの心臓血管外科部門・虚血部門・SHD(structure heart disease)部門・不整脈部門・心不全部門との連携も密に行っております。例えば、難治性不整脈があれば不整脈グループに、心筋梗塞症に心室中隔穿孔合併すれば心臓血管外科にと、速やかな相談・加療が可能となっています。またmobile CCUによる重症患者搬送にも力を入れております。
今後はgeneral ICUにシフトしていきますが、これまでCCUで培った心血管・循環管理のノウハウを十分に活かした全身管理を、また心血管以外の全身管理の基礎を心血管系疾患診療に還元していけると思います。
心原性ショックに対する救命(補助循環用ポンプカテーテルIMPELLA)
当院では、急性心筋梗塞や重症心不全等の心原性ショックに対し、補助循環用ポンプカテーテル(IMPELLA)を用いた治療を行っています。全身に十分な血液を送ることができない状態の際に、IMPELLAは心臓の代わりとなって全身に血液を送ってくれる補助循環装置です。
これまで、補助循環装置としてはECMO(体外式膜型人工肺)やIABP(大動脈内バルーンパンピング)などがありますが、これらでは対応ができない症例に対してIMPELLAを用いた治療が可能となり、救命率が向上しています。当院は、2018年9月より県内で初めて導入し、2022年度まで通算141例を実施、国内でもトップクラスの症例数を誇ります。
また、重症な心原性ショックに対しては、ECMOとIMPELLAを併用したECPELLAという治療も積極的に行い、救命率が低かった院外心停止患者に対し、このECPELLAによる治療が生存率だけでなく、社会復帰率の向上にも大きく寄与しています。
Mobile CCU
当院は、年間7,000件を超える救急車搬送を受け入れる急性期病院です。また、1981年に全国に先駆けてドクターカー(MobileCCU)を導入し、長年にわたり県内のみならず近隣県からの急患依頼にも対応してきました。長距離搬送や患者の重症化に備え、ECMOやIABP、人工呼吸器、モニター、輸液ポンプ、吸引器、心エコーなどを装備、運用することが可能です。
ヘリ
近年、ドクターヘリにより患者搬送時間が飛躍的に短縮されました。Mobile CCUや救急車では時間がかかりすぎる場合などにはヘリが有用です。遠方の医療施設からの依頼があれば、防災ヘリが当院ICU医師をpick upしてその施設まで出向き、その場で診断・応急処置を行い、患者家族と共に当院まで搬送します。搬送中もモニター監視や酸素管理を行います。