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済生会熊本タイムズ

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PET/CT装置を最新機種に更新~スピードアップ、被ばく低減、発見率向上~

ガンなど悪性腫瘍の発見のために行われる「PET/CT検査」。 その装置が14年ぶりに更新されました。4月から使用開始しているこの装置は、全国で8台目、九州では2台目となる最新機種で、より短時間で高精度な検査が実現します。

見えにくかったものが見やすくなる

 「PET」は、がん腫瘍の有無を発見するためのもの。そしてある程度の位置をPETで把握したうえで、より正確な位置や形状を「CT」で確認します。これが一体化しているのが「PET/CT装置」です。

 4月から使用している新しい装置は、画像が綺麗で見やすくなりました。解像度の向上でより細かなものが見えるようになるのと、これまでよりノイズを除去できるようになりしっかり見えやすくなる、ということです。

 検査では全身を撮像しますが、所要時間が半分程度になります。しかも、これまでは一度に140㎝程度しか撮像できなかったので場合によっては2回撮像が必要だったのが、新しい装置は2mまで対応可能なので、よほど背の高い方でない限り1回で済むようになります。

AIの採用で放射線量も少なく

 撮像が1回で済む、撮像時間が短くなるということは、つまりそれだけ放射線の被ばく線量も減らせるということです。

 CT装置が発する放射線量自体も、およそ半分程度になります。 これはAIの採用などにより、少ない放射線量でも解析できるようになるためで、少しぼやけている映像でも、AIが計算して鮮明にしてくれます。

検査時間

PET/CTの検査時間

被ばく線量

PET/CTの被ばく線量

部位を特定する精度

PET/CTの解像度

見つけやすいがん、見つけにくいがん

 PET/CT検査はがんの発見に適しています。しかしPET/CT検査で見つけやすいがんと、そうでないがんがあります。これはPET検査の仕組みに理由があります。

 PETは検査前に、微量の放射線を放出する「放射性同位元素」にブドウ糖に似たものをくっつけた薬剤を体内に注射したうえで、その薬剤の分布を撮像するものです。がんの多くはブドウ糖を栄養源とするため、この薬剤が多く分布する場所にがんがある可能性が高い、という仕組みです。 それゆえ、ブドウ糖を栄養源としない一部のがんの発見にPETは適さないのです。

PET/CT検査で見つけやすいがん 頭頸部がん、食道がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、転移性肝がん、悪性リンパ腫、卵巣がん、膵がん
PET/CT検査で見つけにくいがん 脳腫瘍、胃がん、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、原発性肝がん

総合的に判断してから患者さんへお伝えする

 患者さんやご家族から「検査結果はいつわかりますか?」「早く知りたい」というお声をいただくことがあります。しかし当院ではPET/CT検査のあと、すぐに患者さんに結果を伝えることはしていません。

 これは、もしPET/CT検査でがんが見つかっても、それだけで治療法が決定するわけではないからです。例えばPET/CT検査の結果だけだと、そこからの治療法が多数考えられるケースでも、そこに他の検査の結果や、主治医はもちろんグループの多くの医師やスタッフの意見を集約すると、治療法が2〜3程度に絞られます。当院ではがんゲノム医療も行っており、その方向もあるかもしれません。

 PET/CT検査は、あくまで患者さんの状況を把握する手段の一つであり、それ以外の情報と判断をまとめてから、「今後の治療法はこういう選択肢があります」とお伝えするようにしています。

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