僧帽弁閉鎖不全症のカテーテル治療が可能に(熊本初)
済生会熊本病院にて初めて「MitraClip®を用いた経皮的僧帽弁接合不全修復術」を実施しました
6月26日(火)、熊本病院にて初めて「MitraClip®を用いた経皮的僧帽弁接合不全修復術」が行われました。本治療は2018年4月に保険適用となったものであり、南九州では初の症例です。
このカテーテル治療は、心臓弁膜症のひとつ「僧帽弁閉鎖不全症」を改善する治療方法で、外科的弁置換術・形成術の危険性が高い、もしくは不可能と判断された場合に適応となり、高齢などで外科手術が不可能だった患者さんにも治療の選択肢が拡がりました。
初症例の患者さんは70代女性。経過は良好で、3日後に無事に退院されました。
MitraClip®のクリップ
僧帽弁閉鎖不全症とは?
心臓内にある弁が正常に開閉せず、血液が逆流したり流れなくなったりする病気を「心臓弁膜症」と言いますが、心臓の左房と左室の間にある僧帽弁が完全に閉鎖されないために、一度左室へ送り出された血液が左房内へ逆流する病気のことをいいます。
日本では75歳以上だと10人に1人が罹患しているとも言われる、高齢者に多い疾患です。軽症であれば自覚症状はありませんが、悪化すると心不全等を引き起こし、命に関わる危険性もあります。
僧帽弁閉鎖不全症の治療
外科的治療 ※外科手術が可能な患者さんの第一選択
「僧帽弁形成術」または「僧帽弁置換術」
身体への負担を減らす術式(MICS)を「僧帽弁形成術」の手術で2011年から採用。
当院では2013年からは一部の適応症例において、MICSを完全内視鏡下で実施するなど、さらなる進化もすすめています。
内科的治療 ※外科的弁置換術・形成術の危険性が高い、もしくは不可能と判断された場合
カテーテル治療(MitraClip®を用いた経皮的僧帽弁接合不全修復術)
薬物療法
症状が軽度であれば、薬による治療を行います。心臓の負担を減らす薬や不整脈を予防する薬、血液を固まりにくくし、血栓を予防するお薬を用います。
済生会熊本病院心臓血管センターは開設当初より、循環器内科と心臓血管外科が協働し治療を行ってきた歴史があり、高度で複雑な医療を提供するために必要不可欠な、内科医や外科医のほか、さまざまな職種から成るハートチームを形成して、様々な心臓弁膜症の治療に取り組んでいます。
僧帽弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療の開始により、南九州における弁膜症治療のリーディングホスピタルとして、これからもチームによる価値の高い医療を提供してまいります。
詳細は特設サイトをご覧ください。
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