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10 ムリ、ムダ、ムラを省くパス

ムリ、ムダ、ムラをなくすということはマネジメントの基本です。一般に価値(Value)= 成果・目標(Outcome) ÷ 費用・負担(Cost)と表現されます。Costが一定と仮定するとムリは行き過ぎた目標、ムダはとぼしい成果、ムラは一定しない成果と言い換えることができます。今やっている医療内容を分析するときに、データの取れるクリニカルパスは大変役に立つツールです。ぜひバリアンス分析をして医療の内容を検討してみましょう。

われわれが疼痛管理に注目して分析する理由は、痛みがあることで患者さんの気持ちが落ち込み、イラつき、食事も進まず、運動量も落ち、結果的に治りが遅くなるからです。術後の痛みは術当日から12時間程度がピークで3日目にはほぼNRS 3以下になるのが普通です。外科系の痛み対策は初めの3日が重要で、ここでしっかり鎮痛すれば、あとは楽になります。痛みが出たら鎮痛剤をやるという策はあまりよくないことがわかります。痛みがないと患者もスタッフも楽になります。これにより患者とスタッフの負担(Cost)は軽減し、治療が促進するという意味(Outcome 向上)でより価値の高い医療が実現されます。痛みが出たときの鎮痛剤ではCostはかからないがOutcomeが低下するので価値が低下します(ムダですね)。また、手術をして痛くない人はほとんどいないので、すべての人に標準的な疼痛対策を施すことでムラもなくなります。

わが国の診療報酬は出来高制で、行われた医療行為の費用は原則的にすべて請求可能です。長くこの制度が続きましたがDPCのように一部包括支払い(いわゆるマルメ)が導入され、医療行為にかかった費用がすべて払われるわけではなくなりました。従ってムリ、ムダ、ムラがあると収益も減ることになります。

 

電子クリニカルパスでビッグデータが集まると、これを解析して治療に影響のある因子、例えば患者の状態や検査、薬剤、併存症などが最終結果(退院のOutcome)にどのような影響を与えるのかがわかります。例えば「パスで予定通り退院できる」というoutcomeに影響する個々のデータをその度合いの強さ順に並べることができます。影響度の強いものは必須項目でcriticalと言えるでしょう。逆に影響度が0なら少なくとも退院には影響しないことがわかります。もちろんこの結果がすべてではなく、臨床的にすっきり理解できるものと、首をかしげるものもあります。しかし今やっている医療行為のすべてがすべて絶対不可欠であるとも言えません。例えば検査や薬剤などは多くが経験的にあるいは習慣的に行われてきた経緯もあり、決して根拠が明白なものだけではありません。これらを検討してパスから省くことで、費用や労作が減ることが期待できます。

価値ある医療

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