部長インタビュー

全国的にも数少ない救急と総合診療の統合体制の下、
若い人材を育て地域医療に貢献することが、私達の理念です。

2010年4月に発足した救急総合診療センター。同年5月には熊本県より救命救急センター指定の要請を受け、初期診療から集中治療室での重症管理、その後の転院、退院に至るまで、一人の患者さんをトータルにフォローする画期的な救急医療提供システムが注目を集めています。当院の救急総合診療センターの特徴について、立ち上げから関わっている前原潤一救急科部長と具嶋泰弘総合診療科部長に聞きました。

ー救急総合診療センターは、どのような経緯で発足したのですか?

具嶋
当院には救急総合診療センター創設前から、その前身に当たる救急部があり、前原部長をはじめとする2人の救急科専門医と各診療科からのローテート医の3人で担当していました。しかし、年々増加する救急患者数に対し、マンパワーの不足は明らかでした。また、当院は専門性の高い臓器別センター制を採用していますが、救急で搬送される患者さんには多臓器にまたがる重症疾患や、どの診療科にも属さない症例がある場合も多くみられます。そこで、それらのケースにも対応できる十分な体制、すなわち、一人の患者さんを全人的に診る総合医、そして部署の必要性を感じていたことなども救急総合診療センター発足の要因となりました。
前原
これまでの救急部の実績が行政機関からも高く評価され、救命救急センターの指定を受けたことも、新体制発足の推進力となりました。救急総合診療センターの誕生により救急医療の充実はもちろん、救急医療に携わる若手医師の教育にも力を注ぐことができるという期待がありました。 以前の救急部の環境では、少ない人数でより多くの患者さんや症例を診ることが要求され、スキルも知識も「広く浅く」なりがちな面がありました。現在の体制では各科の専門医によるレクチャーも受けられるため、研修医もレジデントも、「広く深く」学ぶことが可能になっています。

ー救急総合診療センターの雰囲気はいかがですか?

具嶋
とても良い雰囲気ですよ。特にカンファレンスでは、できるだけフリーなディスカッションを意識するようにしています。臨床研修医も発言しやすいようにこちらから話を振るようにしています。意見はそれぞれにあって良いので、異なる見解なども一概に否定せず、むしろ、それをもとにディスカッションするようにします。若い医師に考え抜く力、プレゼンテーション力を上げてもらうことも重要なことだと考えます。
前原
若手も気軽に発言できる雰囲気があり風通しの良い環境ですね。だからといって、カンファレンスで冗漫に議論するようではいけません。メリハリが肝要です。日々の診療や回診もチームを組んで行っているため、日頃からコミュニケーションを大事にしています。

ー救急総合診療センターにはどんな人に来てもらいたいですか?求める医師像とは?

具嶋
まず資格や能力面で言えば、外傷に強い救急医、集中治療医。そして、総合診療医を目指す若手医師です。適性面では何より救急医療に対して情熱を持ち、チーム医療を実践できる協調性のある医師であることも望まれますね。当センターは各診療科から医師が集まっているため、チームワークが大事です。
前原
地域医療や若手医師の教育に熱意を持っていることも重要です。また、地域で開業したいが、その前に救急医療や全人的医療を学びたいという人にも最適な環境だと思います。現段階では何を専門にしたいか決めかねている人も、当センターでの業務を通して自分の適性や目標が見えてくるのではないでしょうか。興味のある方は是非一度見に来ていただきたいですね。

ー救急総合診療センターの今後の目標は何でしょうか?

具嶋
第一に、救急科専門医、総合診療医、集中治療医の育成を行うことです。次に、各診療科との役割分担を明確にし、救急総合診療センターのみならず病院全体の業務の効率化を目指したいですね。見学は大歓迎なので、興味のある方は気軽に訪ねてほしいと思います。
前原
各診療科との関わりを常時、維持しながら救急、総合診療、集中治療のコアとなる人材を育成する。そうして彼らが各科の専門医となることで、有機的な繋がりができていくことを期待しています。単に当センターに一時的に参加したというだけではなく、その成果を先生が各科にしっかりと持ち帰ってもらい、大いに活かして頂きたい。ギブだけでなく、ギブ&テイクの関係でありたいと思います。当センターは、これからも常に最善かつ最先端の治療を目指していきます。 皆さんと一緒に働けること楽しみにしています。
救急医 募集要項