大腸がん(消化器)
疾患情報
大腸がんは国内での発症者が最も多いがんで年間16万人以上が新たに羅患しています。亡くなる方は年間5万人以上で「肺がん」に次いで多く、女性のがん死亡数のワースト1位にあげられます。
大腸は小腸から続く1.5~2mほどの消化器官で、盲腸~S状結腸までを指す「結腸」と残りの「直腸」に分けられます。大腸がんは大腸の粘膜に発生するがんです。40歳代から増え始め加齢に伴い発症数は増加しますが、早期に発見すれば内視鏡での治療も可能で、ほぼ治すことができる「治りやすいがん」といえます。進行すると腸閉塞(注1)や下血(注2)を起こし、手術が必要になります。
大腸ポリープと同様、食生活の欧米化により近年増加しているとされますが、詳細は未だはっきりしていません。現在は早期発見の後、できるだけ早く治療することが最も効果的だと考えられています。早期発見には「大腸がん検診」を定期的に受けることが大切です。
(注1)腸閉塞は、腸内に通過障害が起こり、内容物が腸内にとどまってしまう疾患です。腹痛や嘔吐の原因になります。
(注2)下血は、肛門から出血することです。
病名
大腸がん(結腸がん、直腸がん)
症状など
がんの深さが粘膜下層にとどまるものを「早期大腸がん」、粘膜下層より深くに達するものを「進行大腸がん」といいます。早期ではほとんど自覚症状がありません。進行すると、血便・下血、腹痛、下痢・便秘、体重減少などの症状が出始め、症状が重くなると腸閉塞などを引き起こします。
主な検査
大腸がんやポリープがあると出血することがあります。便の中に血液が混じっていれば病変が存在する可能性があります。40歳になったら毎年、大腸がん検診(便潜血検査)の受診をお勧めします。大腸がん検診は当院予防医療センターでも受診することができます。疑いがある場合や病気の進行を確認するために下記の検査があります。
大腸内視鏡検査、大腸X線撮影、組織検査、CT検査、PET/CT検査など
治療方法
患者さんの症状に応じて、内視鏡治療や外科的手術(開腹手術や腹腔鏡下手術など)、抗がん剤治療を行います。消化器内科と外科の合同カンファレンスを実施し、必要があれば腫瘍内科や放射線科と連携を取りながら、患者さんに最適な治療法を決定しています。
内視鏡治療
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)
リンパ節への転移の可能性がきわめて少ない早期の大腸がんに対しては、外科的な手術ではなく内視鏡での治療が可能です。先端が非常に小さい電気メスを用いて、大腸の病変部を切りはがします。
手術
大腸切除術、腹腔鏡補助下大腸切除術(LAC)、ロボット手術(直腸がん)
がんが広がっている可能性のある腸管とリンパ節を切除します。
切除する場合、腹部を開いて目で確認しながら行う「開腹手術」と、お腹に数カ所の小さな穴をあけ、専用のカメラと手術器具を入れて行う「腹腔鏡下手術」があります。
当院では、直腸がんに対して手術を支援するロボットを使い、医師がお腹の中の立体的な映像を見ながら、少し離れたところから操作を行う「ロボット手術」が可能です。ロボットの関節機能が最大限に発揮される狭い骨盤腔内での手術であり、確実な神経温存により性機能障害や排尿障害の予防に寄与します。
また、肛門管内の剥離も良好な視野で行うことができるため、可能な限り肛門を温存することで患者さんのQOL(生活の質)向上に役立つことが期待されます。
※ロボット手術の詳細は特設サイトをご覧ください。
薬物治療
薬物(抗がん剤)を全身に行き渡らせて、がん細胞を攻撃する治療法です。副作用が少ない薬も増え、症状によっては入院せずに通院での治療も可能になりました。
手術後の再発を防ぐ「術後補助化学療法」と、切除できない進行・再発がんに対して行う「緩和的化学療法」があります。
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